【なでしこ】アジアカップ初制覇の裏に、主将・宮間あやの奮闘あり (2ページ目)

  • 早草紀子●文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 これまでドイツワールドカップやロンドンオリンピックにおいてベストメンバーを組んだ際でも、そこから3枚剥がれれば全く別のチームになってしまっていた、なでしこジャパン。それほどなでしこの連係・連動の動きは難しく、だからこそハマったときは何よりも大きな武器になる。

 今大会では主力が大幅に欠け、サブメンバーもなでしこデビュー組が多かった。初顔合わせからわずか3週間でアジアカップを制したことは十分に評価されるべきである。

 収穫はやはり守備面で川村、宇津木らが大会を通じて、ひとつ守備ラインの形を生み出せたこと。計算できる選手が増えたことで、ワールドカップに向けて最終ラインは競争が生まれてきそうだ。

 攻撃面では、苦しい台所事情から絞り出された4-2-3-1の「3」の魅力の発見が大きい。澤、宮間、阪口夢穂(日テレ・ベレーザ)のトライアングルは攻撃が多彩。それぞれが適宜ポジションを変えながら、展開していくさまは、予想以上に相手を混乱させていた。1トップに大儀見優季が入れば、新たな攻撃スタイルが生まれるかもしれない。

「メインではないが、バリエーションのひとつになる」と佐々木監督も認めるシステムになった。

 と、同時に大きな課題として残ったのは決定力不足。問われるのは格下相手のグループリーグの結果ではなく、決勝トーナメント以降のパフォーマンスだ。髙瀬も90分戦う姿勢を見せたが、決定的な仕事をしきれたとは言えない。菅澤、吉良知夏も今ひとつアピールできなかった。

 決勝トーナメントの中国戦とオーストラリア戦を合わせて、日本の得点は3点。そのすべてがセットプレイからのもので、ゴールを決めたのは澤穂希と岩清水(2点)だった。大儀見に続く彼女たちFW陣が伸びてくれば、間違いなく選手層は厚くなる。

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