【なでしこ】アジア杯、なでしこらしいサッカーでベトナムに快勝

  • 早草紀子●文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 今季から新境地を求めて、アメリカのスカイブルーFCに移籍。厳しい状況に身を置いた木龍に今、変化が表れ始めている。

 ボールを持てば迷うことなくゴールへ突き進む姿勢を貫けるようになった。「積極性が出てきた」と指揮官もその変化に目を細める。前半で持ち前のドリブルが効かないとなれば、ベンチに下げるのではなく、後半はより彼女の得意とする左サイドで挑戦させた。

 2010年の代表初招集から実に4年あまり。ようやく生まれた代表初ゴールはドリブル突破ではなく、こぼれ球を頭で押し込むという「彼女らしくないゴール」(佐々木監督)ではあったが、本人にとっては嬉しい初得点だった。「ああいう泥臭いゴールも今日は必要だったと思います」と照れ笑い。

 エース・大儀見が不在となる決勝トーナメント以降は、強引にでもシュートに持ち込めるゴールゲッターが必要不可欠。現在ポッカリと空いてしまっているそのポジションに木龍が名乗りを上げた形となった。だが、格下を相手にいくら形が作れようとも、プレスのスピード、当たりの強くなるベスト4以上の戦いで力を発揮できなければ意味がない。木龍がまず超えなくてはならない壁である。これを超えたとき、その積極性は今後、揺るぎない木龍のカラーとなるだろう。

 この勝利で1勝1分けとした日本は得失点差で、オーストラリアを抑えて首位に躍り出た。続くヨルダン戦、引き分け以上でワールドカップ出場が決まる。次戦はコンディション優先ではあるが、「まだピッチに立っていない選手を使いたい」と大幅なメンバー入れ替えを示唆した佐々木監督。

 今大会、未だ勝利を手にしていないヨルダンではあるが、指揮を執るのは2012年からアジア貢献事業の一環として日本サッカー協会から派遣されている沖山雅彦監督だ。発展途上ではあるが、1戦1戦、力をつけてきているチームを新戦力たちはどう攻略してみせるのか、決勝トーナメントを戦うレギュラー入りへのアピール合戦は18日に行なわれる。

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