ドイツ大会の再現!?「若返り過ぎた」ザックジャパンに一抹の不安 (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 例えば、前回の南アフリカ大会。メンバー発表の時点で主力と目された選手が調子を落とし、戦術変更を余儀なくされる中、代わって活躍したのはGK川島永嗣、DF駒野友一、MF阿部勇樹、松井大輔といったアテネ世代(1981~1984年生まれ)の選手たち。当時、28、29歳の経験ある彼らが傾きかけたチームを立て直したのである。

 そもそも今回の場合、DF内田篤人、吉田麻也、MF長谷部誠と、主力3選手が負傷による長期欠場から復帰し始めたばかりで、本番までにどこまで復調するのかという不安材料を抱えている。

 仮に彼らのコンディションに問題はなかったとしても、誰もが当然、大会中にはケガや出場停止などのアクシデントが起こりうる。そんなとき、後ろに控えているのが若い選手ばかりで大丈夫だろうか。

 また、主力選手が問題なく試合に出続けられたとしても、今度は控え組がいかにチームを盛り上げられるかは、W杯のような短期決戦を勝ち抜くうえでは重要なポイントとなる。

 前回W杯の場合でも、結果的に控えに回ったMF中村俊輔や中村憲、あるいはGK川口能活ら、実績のある選手が裏方としてチームを盛り上げ、士気を高めた。その結果が、自国開催でのW杯を除けば初となる決勝トーナメント進出である。20代前半の若い選手ばかりをサブに置いていたら、同じことは起こらなかったかもしれない。

 前回大会と同様に決勝トーナメント進出を果たした2002年日韓大会では、ベンチにDF秋田豊、FW中山雅史がおり、チーム全体の士気を高めることにひと役買った。逆に、そうした選手を欠いた1998年フランス大会や2006年ドイツ大会では大会中に控え組が著しくモチベーションを下げ、チームもグループリーグ敗退に終わっている。

 ベンチの陣容が大きく結果を左右する。そのことは過去の事例が証明しているのである。

「同じ力の選手がふたりいたら、若い選手を選択した」

 メンバー発表の席上でザッケローニ監督が語った、その考え方には基本的に賛成だ。その結果、ロンドン世代の選手が多くのポジションでレギュラーをつかんだというのなら構わない。

 しかし、ベンチの大部分を彼らが占めるとなると話は別だ。控えメンバーにおける「若さ」と「経験」のバランスを、もっと考えるべきではなかったか。

 過去のW杯を振り返ったとき、日本代表の「若過ぎるベンチ」に一抹の不安を覚えてしまう。

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