青山敏弘、代表入り。「5番手」からの逆転劇はなぜ起きたのか (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 ザッケローニ監督を振り向かせた、青山の魅力は縦への意識。「攻撃のスイッチを入れる」縦パスのセンスはJリーグでも屈指だ。見た目の体格(身長174cm、体重73kg)から受ける印象以上にフィジカル能力は高く、守備面での危機察知能力も備えてはいるが、タイミングのいい縦パスで攻撃のリズムに変化を生み出すことこそが、青山最大の武器である。

 この優れた攻撃センスに誰より助けられているのは、広島のFW佐藤寿人だろう。スペースを見つけ出す嗅覚抜群のこのFWは、青山が放つ縦パス1本でいとも簡単にDFラインの裏に抜け出し、決定的なシュートチャンスを作り出す。この痛快なホットラインなしに、佐藤が一昨季、J1得点王を獲得することもなかったはずだ。

 どちらかと言えば、細貝と山口が1対1での守備能力やボール奪取能力に特徴があることを考えると、青山が他のボランチとの差別化を図れたことは、代表行き残りに好都合だったと言えるだろう。

 余計な横パスを省き、ゴールへ向かって積極的にボールを運ぶことを求めるザッケローニ監督にとって、青山の「縦への意識」が魅力的なものに映ったとしても不思議はない。実際、青山はニュージーランド戦に先発出場。すでにサプライズ選出の“予告”はなされていたわけである。

 思えば、4月に国内組だけで行なわれた代表候補キャンプに参加した際、青山はこんな言葉で手応えを口にしていた。

「ザックさんには自分のよさをわかってもらえていると思う」

 5番手からの逆転選出。青山の思いは確かに指揮官に通じていた。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る