悩めるザッケローニ。唯一の希望は絶好調・大迫勇也 (3ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi 渡辺航滋●撮影 photo by Wanatabe Koji

 もっとも、進化を求め続ける男は、そんな活躍を見せても決して満足することはない。

「いろいろ細かいところでミスもあったし、まだまだです。もっといいイメージを持ってできれば、もっといろんなことができるようになると思います」

 あくまでも、視線の先にあるのは6月のワールドカップ。チームは昇格も降格もない状況で最終節を迎えるわけだが、依然、高いモチベーションをキープしている。

「僕にはワールドカップがあるので、そこを目指して、メンバーに選ばれるようにアピールしていかないといけないと思う」

 ボーフム戦の直後にこう語った大迫だが、5月8日、クラブはフライングぎみに大迫がワールドカップに臨む日本代表候補30人の中に入っていることを発表(その後、発表を取り下げた)。4月25日には、ザッケローニ監督が視察に現れた「御前試合」で、見事な左足ミドルシュートを叩き込んでいることを考えても、もはや23名のメンバー入りを果たすのは確実と思われる。1トップとして、さらにはトップ下としても、プレーの幅を広げていることも大きい。

 問題は、メンバーに選ばれるだけでなく、ブラジルの大舞台でキックオフからピッチに立てるかどうかということだ。

 無事メンバーに選出されれば、スタメン奪取のために残されたチャンスは、5月27日のキプロス戦、6月2日と6日に予定されているアメリカでのコスタリカ戦とザンビア戦の計3試合となる。ここが大迫にとってのターニングポイントになるだろう。

 天秤は、確実に傾きかけている。目の前にあるチャンスをものにできるかどうかは、もちろん自分次第だ。そのことは、大迫自身がいちばんよく分かっている。

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