【なでしこ】NZ戦勝利も、求められるベテランと若手のさらなる融合 (3ページ目)

  • 早草紀子●文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 しかし、吉良のプレイはなでしこに必要不可欠な展開に関わる時間が少なかった。ボールを持って、叩いたら終わり。いわばブツ切りで、次のプレイへのアプローチがない、もしくは遅いのだ。「相手の当たりに耐え切れず、自分から当たって行くこともできなかった」と猛烈に反省していた吉良。この経験が吉良にとってアジアカップでの不安材料を消す糧となるだろう。

 また、吉良が昨年戦った東アジア競技大会での中国、北朝鮮はフル代表メンバーだった。つまり、すでに吉良はアジアカップで対戦するであろう強豪の洗礼を受け、打ちのめされている。その経験が吉良をここまで成長させただけに、今回のアジアカップでの戦いは少なくとも無駄な混乱を避けられる。

 アジアカップを勝ち抜くチーム作りは、大会開幕には間に合わないかもしれない。だが、大会はチームを成長させる。ベテランは力づくでも若手を引き上げ、若手は全力で応えていく覚悟と実行力が必要だ。“馴染ませる”など生ぬるいことでは成し得ない。戦力が欠けているのなら、強引にでも生み出すしかないのだ。

 アジアカップ初戦は、いきなりワールドカップ出場権獲得を左右するオーストラリアとの大一番から始まる。なでしこたちが誇りとする日の丸の意地とプライドを見せてほしい。

【アジアカップ ベトナム大会 グループA日程】
5月14日(水)オーストラリア戦 22時15分キックオフ(日本時間)
5月16日(金)ベトナム戦 22時15分キックオフ(日本時間)
5月18日(日)ヨルダン戦 21時15分キックオフ(日本時間)

※各組上位2チームがトーナメントを行ない、1位から4位までの順位を決定。W杯出場枠残りひとつは、各組3位のチームが対戦し、その勝者に与えられる。アジア枠は5つ。

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