【なでしこ】初代表の猶本光は、レギュラーを奪えるか (2ページ目)

  • 早草紀子●文・写真 text &photo by Hayakusa Noriko

 それでも浦和の多彩な攻撃と、最終ラインのみならず、最後の瞬間には複数の選手がハードワークする守備力は終始湯郷を苦しめた。若いチームは今まさに成長期のど真ん中にあり、なかなか破れなかったトップチームの壁を越えようとしている。

 そんな浦和から、アジアカップへ向けて5名がなでしこジャパン入りを果たした。中でも注目されるのは、この試合中盤で宮間とマッチアップした猶本光(20歳)だ。2012年のU-20女子ワールドカップ3位の立役者として注目された猶本だったが、昨季は出場機会に恵まれず悔しいシーズンを過ごした。

 また、初めてキャプテンという立場で臨んだ昨年のU-19アジア選手権では、終始主導権を握りながらも4位に沈み、U-20ワールドカップの出場権を逃すという苦い経験もした。

 もう一度世界と戦うにはなでしこ入りをするしか道はない。猶本は徹底して走り込み、オフにはスプリント練習で出足の速さを身につけた。運動量では負けない自信がついた。さらに緩急をつけたパスも彼女の強み。敵と対峙しながら、ときに強引に、ときにスピードコントロールした優しいパスを味方の足元に配給する。これが国際大会で発揮できれば、これ以上ないアピールにつながる。

 なでしこジャパンが世界一になったとき、澤穂希のプレイを見て、ボランチというポジションの捉え方が猶本の中で180度変わった。得点に絡むプレイを強く意識し始めたのもそのときから。目標だった澤と、初めて同じユニフォームを着てトーナメントを戦うアジアカップ。このビッグチャンスを、悔しい想いをしてきた猶本が、どう生かすのか見ものだ。

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