ボランチ最後のひと枠を狙う、広島・青山敏弘の「胸中」

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Nakanishi Yusuke/AFLO SPORT

「自分は代表に入って日が浅いので、(ザッケローニ)監督のもとで学ぶことはまだたくさんある。それに(代表チームの)コンセプトも自分の体の中に馴染んでいないので、これまではまだ考えながらやっている部分があった。そこを、この3日間で少しでも消化して、オートマチックに反応できるように意識してやっていました」

 青山の持ち味は、危険な芽を摘む守備、そして相手の急所を突くパスの配球である。合宿最終日に行なわれた流通経済大との練習試合でも、タテを狙いつつ、サイドのスペースにパスを出して味方を走らせたり、前がかりになるチームの後方で守備に貢献したりするなど、質の高いプレイを見せた。

「監督からは、タテへの意識を求められているし、そういうところはいくらか出せたと思う。ただ、それにプラスして、いかに(チームの)コンセプトに合ったプレイを出せるかというところですよね、そこを監督には見られていたと思うんだけど、自分としては『まだまだだな』っていう感じでした。全体としては、初招集の選手もいて、コンセプトどおりに合わせられない面もあったけど、レベルの高い選手たちが集まっているので、それぞれ個々の特徴は出せていた。その辺は、さすが『代表だな』って思いましたね」

 パスを左右に散らして攻撃を組み立てていた青山だが、自身がゴールに絡むプレイは少なかった。シュートも、終了間際のミドルシュート1本だけに終わった。1カ月前の試合後に悔やんでいた、自らのタテの動きについては、どう思っているのだろうか。

「いやぁ~、もっと前に出て行きたかった。やっぱり、自分のよさはタテに出ていくことだし、パスも全部タテを狙いたい。自分も含めて、もっと選手それぞれがチームのコンセプトを消化できていれば、ダイレクト(のパス)でシュートにつながるようなシーンも出てくると思うし、自分のよさにプラスアルファーしたものも、さらに出すことができたと思うけど......」

 そう言って表情を曇らせた青山の弁は、ニュージーランド戦後に「もっとタテパスを入れたかった、というのが反省としてあります。スタメンで慎重になってしまった。無難にプレイし過ぎて面白くなかった。もっとやれたと思うけど、これが自分の実力」と話した内容とほとんど同じだった。

 今回は、急造チームゆえの難しさもあったのだろう、自身のプレイについて語る青山からは反省の弁ばかりが漏れた。では、自分の強みを出すには、何が必要なのだろう。

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