【なでしこ】U-17、2年前の悔しさをバネにベスト4進出 (2ページ目)

  • 早草紀子●文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 メキシコの集中した守備の前に、なかなか決定打を放つことができない日本だったが、ピンチは前後半に一度ずつのみ。守備面では、全員が効果的にプレスバックに入り、危険な芽は守備的ボランチに入るMF長野風花(浦和レッズレディースユース)が素早く体を寄せて摘み取ると、最終ラインが課題としてきたラインコントロールを調整しながら、危険を防ぎ、メキシコを完封。高倉麻子監督も「よく耐えた」と守備陣を評価。全員で取り組んできた"攻撃のための守備"が形になった90分間だった。

 しかし、攻撃面についてはグループリーグ同様、課題が残った。約7割のポゼッションを保ち、実に28本ものシュートを浴びせながらも結局は2ゴールに留まった。パスミスから一気にゴール前に運ばれるなど、精彩を欠くプレイも目立ち、「よかったのは勝てたことだけ。非常に不満の残る試合になった」と高倉監督は厳しい表情を見せた。

 準々決勝といえば、U-17世代にとっては苦い思い出がある。2012年の前回大会で日本は優勝候補筆頭に挙げられ、チームも順調に勝ち上がっていた。自信を持って臨んだ準々決勝で圧倒的に攻め込みながらも、ゴールを割ることが出来ず、逆にミスからの失点でガーナに敗北を喫した。目の前にあったベスト4への扉が閉ざされたあの悔しさを知るのは、今は杉田と長谷川の二人のみ。ともに「あの悔しさを晴らすためにも絶対に決勝まで勝ち上がりたい」と口にする。ノックアウトの戦いの厳しさを知るだけに、その想いもひとしおだ。

 その準々決勝で先制点を長谷川、追加点を杉田がマークしたのも、偶然ではない。前回大会は先輩に必死で食らいついていたが、今大会は自分たちがチームを牽引する。その責任は十分に理解していた。大声で指示を出す姿をよく目にする杉田。「時にはミスして落ち込みたくなるときもあるんですけど、そんなことは言ってられない立場ですから(笑)。でも、みんな助けてくれるんで、このチームで戦うのは楽しい」という。

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