【なでしこ】U-17女子W杯、グループリーグ突破で整った頂点への準備 (3ページ目)

  • 早草紀子●文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 71分、左からのボールに交代で入ったFW児野楓香(藤枝順心高)が合わせようとするもGKが先にクリア、こぼれたところを市瀬が放ったシュートが、ゴールライン上でクリアしようとしたDFの手に当たった。PKを得た日本はこれを小林が決めて2-0。流れはすでに日本にあったが、終了間際には左サイドバックのDF北川ひかる(JFAアカデミー福島)のオーバーラップからのパスに松原が合わせてトドメを刺した。

 試合後の会見でも、海外プレスから「決勝であたりたいチームは?」という質問が飛ぶなど、日本は優勝候補筆頭として熱い視線を集めている。

 しかし結果とは裏腹に、ここまでのチーム状況は決して順調なものではなかった。昨年のU-16女子アジアカップで女王となったものの、世界と戦うには現状では厳しいと判断した高倉監督は合宿を重ね、選手の洗い出しをもう一度やり直した。

 そうして世界一を目指すチームに選ばれた選手は昨年のアジア予選から7名が入れ替わっていた。前回大会(2012年)ベスト8、前々回大会(2010年)は準優勝の日本にとって、グループリーグ突破は必須事項だ。

 しかし、国内合宿から現地コスタリカでの調整中も、コンディションを含めたチームの仕上がりは芳しくなかった。直前のカナダとのトレーニングマッチでもドロー。結果よりも問題は内容だった。大会が始まってからも、中日の練習は2部練習に及ぶこともあり、攻守にわたって一日一日文字通り積み重ねていく日々は大会中の今も変わらない。

 今後の連戦を考えれば、主力を休ませたい。が、まだチームとして固まりきっていないチームの構成を変えて、掴みかけているリズムを崩したくもない。高倉監督は難しい判断を迫られていたが、選手の好調さにも助けられ、ニュージーランド戦で選手全員の起用を果たした。主力に数名を入れ替えて、一定のポジションではなく、複数のポジションに据えることで、選手層に厚みが生まれていた。全員起用しても大崩れを起こすことなく、課題はあるものの得点を重ね、さらに主軸の休養も確保できた。ようやく頂点を目指す準備が整った。

「リベリア(次戦会場)での戦いを楽しみにしていて欲しい」と自信を見せた高倉監督には、まださらなる秘策があるようだ。次はいよいよ準々決勝。暑さ厳しいリベリアでの戦いになるが、27日(現地時間)に分のいいメキシコを下し、一気に頂点までの道筋を築きたい。


【U-17女子ワールドカップ日程】
3月28日(金)準々決勝 メキシコ戦
午前8時キックオフ予定(日本時間)
4月1日(火)
準決勝 
4月5日(土)
3位決定戦
決勝  

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