【なでしこ】デンマーク戦で4年ぶりゴール。
岩渕真奈の覚醒の予感

  • 早草紀子●文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 駆け寄る仲間に対し、冷静な面持ちの岩渕。「とにかくホッとしました。今だから笑って言えますが、期待をされながら4年間ゴールできなかったことはかなり気にしていたので......決まった瞬間はホッとしすぎて"無"でした」

 2008年、15歳で臨んだU-17女子ワールドカップでその才能を開花させた岩渕は、トントン拍子で代表カテゴリーを駆け上がってきた。なでしこジャパンにも2010年の東アジア選手権に初招集され、同大会で初ゴールをマーク。以来、ドイツワールドカップ優勝、ロンドンオリンピック銀メダルにも直接関わってきた。随所に光るプレーで相手を翻弄しながらも、初ゴールを記した大会から今まで生まれなかったゴール。

 ロンドンオリンピック後、岩渕は戦いの場をドイツに移した。取り組んだフィジカルで体つきも変わった。ドリブルでは重心が下がり、簡単には弾き飛ばされなくなった。筋力がついたことで、シュートにも威力が増した。「シュート練習でも、パワーがついてきたなってわかる。今日のシュートも思いっきり振ったんですけど、それがよかったのかも」(岩渕)。

 そしてもうひとつ、岩渕の自信につながっているのが"間合い"だ。「ドイツでやってきて、デカい人たちの中でも、間合いを感じ取れるようになってきた」と本人も実感する。「代表では精一杯やってるつもりでもやれてなかったのが事実だから、今日からまた始められるって感じです」(岩渕)。ようやく、一歩踏み出すことができた。

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