【なでしこ】今後のチーム構成を左右する、アルガルベカップの重要性 (2ページ目)

  • 早草紀子●文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 唯一チャレンジプロジェクトから、なでしこ入りを果たしたのは、昨年の長崎合宿でも招集された三宅史織(JFAアカデミー福島→INAC神戸レオネッサ)。三宅は強化指定選手としてINACでプレイした経験を買われての抜擢となった。新入りに分類されるとすれば、三宅と北原佳奈(アルビレックス新潟レディース)のみ。そのふたり以外は佐々木監督が熟知する選手を揃えた。

 ベテラン勢では、本格的に代表復帰となる澤穂希を筆頭に、見慣れた名前が並ぶ。ヨーロッパに移籍している選手もほぼ集結し、図式としては銀メダルを獲得したロンドン組(バックアップメンバーを含む)に、今最も佐々木監督が試したい新入り2名、そして中堅へと成長の期待が高まる中島依美(INAC神戸)、木龍七瀬(日テレ・ベレーザ)という面々で、2014年初の国際大会を戦うことになった。

 成長株は中島。キレのあるドリブルと、ゴールを引き出すパスを身上とする。これまで9試合の代表戦に出場し、1ゴールを挙げているが、周りの選手に引き上げられている要素が多かった。

 代表に召集された当初は、あまりの緊張に空回りすることもあったが、所属するINACの名だたる選手たちの中で、昨シーズンはレギュラーとして活躍。そろそろなでしこジャパンとしての自信も付き始めた頃かと思いきや、「いまだに緊張します」(中島)とはにかむ。ゲームではスピード感あふれるドリブルを見せる中島だが、本人曰く、「足は本当に遅いんです。速く見えてるだけ(笑)」なんだそう。彼女の中では「速いっていうのは、大野(忍)選手や川澄(奈穂美)選手のようなタイプ」というのだから、意外だ。

 中島が目下目指すはゴールだが、より重きを置いているのが精度の高いラストパスだ。「宮間(あや)さんは、私の走り出しに合わせてボールを出してくれる。本当にすごいです。私も宮間さんみたいなパスを出せるようになりたい」

 中盤に精度の高いパスを生み出すことができる人材はいくらでも欲しいところ。存在感を示すことができれば、なでしこジャパンにおいてレギュラーの座を射止めることも夢ではない。経験値と自信が上り調子にある今、中島にとってアルガルべカップは絶好のアピールの場となるはずだ。

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