遠藤保仁の決意「過去の代表とは目指しているモノが違う」 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

「いや、オレは初戦がすべてだとは思っていない。全部、すべての試合が大事だよ。初戦で勝てば、確かにチームに勢いがつくけど、初戦で負けても、2戦目で勝てば、3戦目も『いける』っていうムードになるでしょ。しかも今回は、南アフリカ大会のときとは状況が違うからね。

 あのときは、初戦の結果が絶対に必要だった。大会直前にチームが変わったんで、初戦で負ければ『今までやってきたことは、いったい何だったんだ』っていうことになる。ドイツ大会のときのように、初戦で終わってしまう危険があった(初戦でオーストラリアに1-3で敗れるとチームが崩壊。1分け2敗でグループリーグ敗退)。だから、グループリーグを突破するためにも、チームがひとつになるためにも、初戦にかかる比重がすごく大きかった。

 でも、今のチームは、たとえ負けても、すぐに前向きな気持ちを取り戻せる、メンタルの強い選手が多い。だから、初戦うんぬんにこだわらなくても、一試合、一試合を大事に戦っていけばいいと思っている」

 グループリーグの対戦相手については、どう見ているのか。

「先入観で判断しないほうがいい。『コートジボワールが強い』『コロンビアが強い』とか言われているけど、予選全試合を見た人なんて、ほとんどいないわけでしょ。もちろんコロンビアは、FWファルカオとかインパクトのある選手がいるから『強いだろうな』とは思うけど、実際に対戦してみないとわからない。南アフリカ大会のときだって、オレらは大会直前にコートジワボールと試合をして、『こいつら、強いよなぁ。相当、上に行くな』と思ったけど、グループリーグを突破できなかった。

 逆に『ギリシャからは勝ち点3をとれる』って、みんなは言うけど、そんなに甘くないよ。ギリシャは、ハイレベルな欧州予選を突破しているわけだから。まして、大舞台になるほど守備が強固になる。自分たちの戦い方に絶対の自信を持っていることも大きいよね。かなり手強いと思う。まあ、簡単な試合はひとつもない。だからといって、自分たちの目標が達成できないとも思っていない。オランダ、ベルギー戦での、後半のような戦いが常にできれば、結構やれると思う」

 遠藤の頭の中には、「こうすれば勝てる」とまではいかなくても、「こういう戦い方ができれば、いい勝負ができる」というイメージはできているようだ。

「W杯で勝つために、これをしておけば勝てるとか、何をすれば正しいとか、そういうものはない。その答えを、自分たちで導き出さないといけない。オレは、今の代表のメンバーで、導き出していきたいと思っている」

 かつてない高みを目指した戦いが、いよいよ始まる。

前編を読む>

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る