遠藤保仁の決意「過去の代表とは目指しているモノが違う」 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 遠藤個人としては、何か特別に取り組んでいることはあるのだろうか。

「体幹(トレーニング)とかは基本だし、それをやっているからといって、『すごい』というものじゃなくなっているけど、オレは試合の中で感じたことを大事にして、それで必要だと思った部分を(体の)上下満遍なく鍛えている。トレーニングメニューは、3カ月ごとに変えているけどね。パワーアップのメニューにしたり、バランス重視のメニューにしたり、怪我を予防するメニューにしたりね。時期によって、いろいろな強度も変えたりしている。少なくとも、アジア最終予選(2012年6月)が始まった頃と比べたら、体のデータはだいぶ変わったと思う」

 確かに、遠藤の体は以前とは見違えるほどがっちりしている。結果、オランダ戦やベルギー戦で、体格で勝る欧州の選手たちと対峙しても、当たり負けすることが少なくなった。チームと同様、世界仕様の体になっている。

 ところで、チーム強化とともに気になるのは、W杯メンバーである。メンバー発表の時期が近づくと、各メディアでは「サプライズ選出」となる人選を予想したりして色めき立つが、一方で「ベテラン枠」と言われるものにも注目が集まる。過去には、2002年日韓共催W杯でFW中山雅史とDF秋田豊が、2010年南アフリカW杯ではGK川口能活が選出された。そうした「ベテラン枠」の存在を、遠藤はどう考えているのだろうか。

「それは、監督の考え方次第でしょ。そりゃ、経験のある選手がいればいるほどいいと思う。けど、今のチームの選手はみんな、しっかりしているから大丈夫。意識の高さとかは、以前の代表チームとは全然違う。ドイツ大会(2006年)や南アフリカ大会(2010年)のときは、グループリーグ突破が大きな目標だったけど、今はさらに上を目指している。今回、初めてW杯を経験することになる若い選手たちも、経験のある選手がそうした発言をすることで、『オレも上を目指さないといけない』と思っているからね。オレ個人としては、ベスト16を超えると、間違いなく総力戦になっていくし、そのためには"ジョーカー"となりうる存在をひとりでも多く入れたほうがいいかな、と思う」

 あと3カ月後に迫ったブラジルW杯。グループリーグでは、コートジボワール、ギリシャ、コロンビアと対戦するが、日本が過去に参戦したW杯の歴史をひも解いてみれば、"初戦が大事"ということは明らかだ。グループリーグを突破した2002年日韓共催大会(2-2ベルギー)も、2010年南アフリカ大会(1-0カメルーン)も、初戦で勝ち点を挙げている。逆に、初戦で敗れた1998年フランス大会、2006年ドイツ大会は、グループリーグで敗退した。やはり、結果を出すためには、初戦が大きなカギを握る試合となるのだろうか。

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