出場機会の減少は香川真司のプレイにどのような影響を与えるか

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by GettyImages

 マンUにおけるプレイは、逆に、怖いものだらけという感じだ。紅白戦でそれが磨かれるはずはない。錆び付かないうちにさっさと移籍すべし、と言いたくなるが、それはさておき、3月5日のニュージーランド戦は、そうした中で迎えることになる。錆び付きそうな感覚を、わずかな時間に蘇らせることができるか。

 焦りも加わるだろう。周囲の視線、評判も気になるだろう。相手のニュージーランドが、どちらかと言えばステップの粗いドタドタ系の選手が多いので、本来、レイコンマレイ1秒必要なものが、レイコンマレイ5秒ぐらいで済む可能性はある。ハードルは通常より低いとはいえ、少しでも萎縮してしまえばクリアは難しくなる。

 もっとも本番は6月だ。この後もマンUで出場機会を得られないなら、問題はさらに深刻化するだろう。繰り返すが、香川のような選手に必要なのは精神的なノリ。100の力が120出てしまうようなリラックスした環境に、いち早く身を移すべきだと思う。コンマレイ1秒の感覚は、錆び付いてしまう恐れ大なのだ。

 もちろんこの問題は香川に限らない。何らかの理由で実戦から遠ざかった選手は程度の差こそあれこの壁にぶち当たる。欧州組でメンバーを固めた日本代表では、このことが致命傷になりかねない。

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