今野泰幸「W杯は初戦から全力。そして最後は『大和魂』で勝負」 (4ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

 ブラジルW杯開幕まで、およそ4カ月。日本はグループリーグで、コートジボワール、ギリシャ、コロンビアと対戦する。多くの選手が「優勝」を目標に掲げる中、グループリーグ突破は必須条件。ポイントになるのは、やはり初戦だろうか。

「(初戦は)大事でしょうね。その結果が、グループリーグを突破できるかどうかの、50%ぐらいの割合を占めるんじゃないですか。南アフリカW杯でも経験したけれど、大会目前まで死んでいたチームが、初戦の(本田)圭佑の1点で生き返った(1-0カメルーン)。初戦を勝つと、チーム全員の気持ちがガラッと変わる。逆に、初戦で勝ち点を取れないと厳しくなるのは、2004年アテネ五輪で経験しているのでね(初戦のパラグアイ戦を3-4で落とすと、1勝2敗でグループリーグ敗退)」

 グループリーグを突破すると、決勝トーナメント1回戦では、グループDの上位チームと対戦する。予想されるのは、ウルグアイ、イタリア、イングランドといった世界的な強豪チームだ。

「今はまだ、そこまで考える余裕はないですね。まずは、グループリーグですべての力を出し切るつもりでやらないと。そこを突破すれば、自然とモチベーションが高まるし、チームの一体感も増す。それで、いい結果が出たら、次の日に残る疲れも軽減されるし、いいサッカーができていれば、ワクワクした気持ちになって早くサッカーをしたいと思う。とにかく、一試合一試合全力で、すべてのパワーを発揮して、グループリーグを突破したら、あとは“大和魂”でやるしかない」

「大和魂」とは、いかにも朴訥(ぼくとつ)な今野らしい表現だ。今年、31歳で迎えるブラジルW杯は、自らの集大成として挑むのだろうか。

「いや、自分はまだまだサッカーをやりたりし、長くプロサッカー選手でいたいので、“集大成”という感じではない。ただ、南アフリカW杯のときは、大会前から『この代表で終わりだ』と思ってやっていた。ブラジルW杯でも、次の代表のことは1ミリも考えていない。全部、出し尽くす? まあ、それは当たり前ですね」

 ビッグマウスではない。今野は、13年間のプロ生活で得てきたものを、W杯でいつもどおり発揮するために、粛々と戦う準備を進めている。

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