今野泰幸「W杯は初戦から全力。そして最後は『大和魂』で勝負」 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

 新戦力という刺激が加わったことで、新たなステージへと進んでいるザックジャパン。はたして、ここまでのチームの完成度はどうなのだろう。2010年南アフリカW杯に臨んだチーム、あるいはW杯アジア最終予選が始まった頃(2012年6月)と比べて、どのくらいよくなっているのだろうか。

「今のチームの完成度が、4年前と比較してどうか、というのはわからないですね。岡田(武史)監督のときも、最終予選で(田中)達也らがゴールを決めたカタール戦(3-0/2008年11月19日)とかはすごくいいサッカーをしていた。でも、世界の強豪国には通用しなかった。前からプレスに行ってもボールが取れないので、『どうしよう』と、選手も監督も考えた。だから、(W杯本番)直前にやり方が変わった。

 同じように、今回も最後まで何が起こるかわからない。最終予選が始まった頃とは少しずつメンバーも変わってきているし、常にサッカーは進化している。それについていかないと(誰でも)蹴落とされるし、そうするとさらにメンバーが変わっていくかもしれない。W杯開幕まで、どうなっていくのか、本当にわからないですよ」

 しかし、4年前とは明確に異なることがある。南アフリカ大会のときは、攻撃のパターンがセットプレイとカウンターしかなかった。だが、今のチームは攻撃のバリエーションが豊富で、いろいろな形から得点が取れる。少なくとも、攻撃面でのチーム力は格段に上がっているはずだ。

「岡田監督のときは、攻撃面は結構自由が与えられていたけど、ザッケローニ監督になって、(攻撃でも)いくつか細かな約束事ができた。それをベースにして、ずっと崩し方の練習をしてきているので、その形がうまく出せたときは、(相手を)崩せるし、いろいろな攻撃パターンを出せていると思う。いい、悪いは別にして、その違いはあるかもしれません。

 また、南アフリカ大会の頃と比べると、逆境に立たされたとき、それを盛り返せるだけのメンタルを持った選手が多くなった、というのはあります。だからといって、チームの総合力が高まったかどうかはわからないし、比較はできないですね」

 では、個人的にはどうだろう。南アフリカ大会からの4年間で、思うような成長曲線を描けたのだろうか。

「それは、自分でも(成長したと)感じています。いろいろ悩むことはあったけれども、試合に出ることによって、さまざまな経験ができたし、南アフリカW杯のときよりも、経験値、戦術理解度はアップしている。自分自身、(選手として)大きくなっていると、信じています(笑)」

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