なでしこチャレンジ合宿。層が厚い東京五輪世代に期待 (3ページ目)

  • 早草紀子●文・写真 text &photo by Hayakusa Noriko

 一方、アルガルべカップに向けて最後のチャンスにかけている選手もいれば、初めての代表選考を経験するフレッシュな選手もいる。先月行なわれた高校女子サッカー選手権で優勝した日ノ本学園の入江未希(18歳)もその一人。153cmと小柄ながらも先輩に負けじとピッチのど真ん中で身体を張る。いい意味で型にはまっていないゲームメーカーだ。各カテゴリーでの代表経験はないが、選手権での活躍が認められ、今回の招集となった。目指すはラマンガ国際大会への招集だが、U-23世代もそう甘くはない。高校生の入江もその洗礼を浴びた。

「スピードに慣れるのにすごく時間がかかった。やっぱり高校生となでしこリーグの選手とでは違います。上の人たちは駆け引きのある守備をするので、もっとポジショニングと、ボールをもらってから前を向く工夫をしないとダメですね」(入江)

 イメージするのは、なでしこの大野忍のプレイだという。鋭い動き出しと、空いているスペースへの的確なパス。自らもゴールを狙うそのスタイルは入江にとって理想なのだろう。ここから本格的になでしこリーグ仕様の身体作りが始まれば、フィジカルの弱点も解消されていくはず。この先の成長が楽しみな選手だ。

 今年はワールドカップ予選となるアジアカップ(5月開催)の年。そこへ直接絡む選手という目線で見た場合、今回のメンバーからどれだけの選手にその可能性があるかとなると、かなり厳しいと言わざるを得ない。

 また、現状でなでしこを目指す選手と、次世代のなでしこを目指す選手とが織り交ざった今回のキャンプは、選手間のモチベーションの違いも見え隠れし、難しい一面もあった。が、東京オリンピックを見据えれば、技術、戦術眼を含めて若い選手たちの個々のレベルは非常に高く、選手層は厚いといえる。「質の高さにビックリした」と佐々木監督も認める若手の能力。今はハイアベレージな横並びだが、ここからどれだけの選手が飛び抜けて行くかが、彼女たち世代の行く末を左右しそうだ。

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