名波浩の楽観論「日本がW杯ベスト8に入る方法」 (4ページ目)

  • 飯尾篤史●構成 text by Iio Atsushi
  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

 今の日本は名前負けするような相手は少なくなっているが、そのうちのひとつがウルグアイ。昨年8月の対戦では2-4で敗れた。内容的には、0-6の完敗だった。そのイメージは選手の中にも残っているだろうし、こうして"格づけ"されてしまうと、嫌なイメージは簡単には剥(は)がせないものだ。まして、今度はFWスアレス(リバプール/イングランド)とコンビを組む、強力FWのカバーニ(パリSG/フランス)までいる。ベスト8進出のためには、できれば対戦したくない。

 グループDの2位は、おそらくイタリアだろう。もちろんイタリアも強豪だ。世界的に見れば、間違いなくイタリアの勝利を予想する人のほうが多いだろう。だが、ウルグアイに比べれば、イタリアのほうが日本に付け入る隙はある。イングランドの目もわずかにあるかもしれないが、それこそ日本にとっては戦いやすい相手だ。

 ウルグアイよりイタリアのほうがいいのは、まず日本の選手たちが、イタリアに対して嫌なイメージがないからだ。昨年6月のコンフェデレーションズカップ(以下、コンフェデ)で3-4と善戦して、誰もがいいイメージを持っている。何よりそれが大きい。

 また、イタリアは"暑さ"を苦手としている。昨年のコンフェデでもコンディション調整に苦労していたし、2002年日韓大会でも韓国の蒸し暑さに足が止まって、韓国に敗れるという苦い歴史がある。もっとも、同じミスを繰り返さないのがイタリアの強さでもあるが......。

 何はともあれ、日本がベスト8に進む可能性は十分にある。本田や香川といったキーマンとなる選手の代わりはいないかもしれないが、5試合を戦うだけの戦力はそろってきている。ケガ人や出場停止などがあっても、極端な戦力ダウンを招くことはないだろう。それこそ、いろいろな選手を起用して結果を出した、昨年11月のオランダ戦やベルギー戦が証明している。あとは、高みに行けば行くほど、熾烈さを極めれば極めるほど大事になってくる"運"をつかめるかどうか、だ。

 繰り返しになるが、ブラジルW杯に挑む日本について、個人的には非常に楽観的に見ている。グループリーグを突破する可能性は、これまでのW杯と比べても、最も高いと思っている。そこで余力が残っていれば、日本の8強入りの現実味がますます増していく。

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