名波浩の楽観論「日本がW杯ベスト8に入る方法」 (2ページ目)

  • 飯尾篤史●構成 text by Iio Atsushi
  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

 一方、守備面においても、必要以上に恐れることはない。コートジボワールの攻撃は"ぶつ切り"のイメージがある。個々の迫力やスピード感はあっても、仕掛けは単発で、展開も単調な傾向が強い。日本がオランダ戦やベルギー戦で見せたような、セカンドボールを拾って、2次攻撃、3次攻撃を仕掛けてフィニッシュという、リズムのある攻撃はできないだろう。2013年のアフリカネーションズカップで早々に敗れたのは(準々決勝でナイジェリアに1-2で敗退)、その辺りに問題があったとも聞いている。

 確かにスピード勝負で一気にぶっちぎられてしまうと、その対応は厳しいかもしれない。だが、単発であれば、今の日本の守備陣なら、うまく対処できるのではないか。第一、日本が押し込む時間帯のほうが長いと思うだけに、リスクマネジメントさえしっかりできていれば、そうそう崩されることはないと思っている。

 加えて、今の日本代表の選手たちは、半数以上が前回大会を経験している。国際経験も豊富で、初戦だからといって、浮き足立ったりしないはず。ゆえに、大会への入り方も何ら心配はしていない。グループリーグ突破に関して、個人的には楽観視しているのだけれども、それは、そうした代表メンバーの経験値の高さとメンタル面の強さを感じているからでもある。コートジボワール戦では好結果を期待したい。

 第2戦のギリシャも手強い相手だ。「90分間守り通せる」という点で、一本筋の通った戦い方をしてくる。その分、コートジボワールよりも、不気味な印象がある。

 それに、きちんと守備のブロックを築いて、隙を狙ってカウンターを繰り出してくるのは、日本が最も苦手とするタイプ。日本のオランダ戦、ベルギー戦の結果を間近で見ていて、日本への警戒心を強めているのも厄介だ。

 ただし、ギリシャの守備も、決してこじ開けられないものではないと思う。W杯欧州予選(プレーオフを除く)で10試合4失点という「堅守」を誇ると言っても、相手はボスニア・ヘルツェゴビナ、スロバキア、リトアニア、ラトビア、リヒテンシュタインだった。いかにも、組み合わせに恵まれた印象が強い。

 守備陣には屈強なタイプの選手がそろっているとはいえ、今や、日本代表選手の多くが欧州でプレイしている。体格的なハンデはあっても、そういった選手との対峙には慣れている。国内でプレイする選手にしても、昨年の欧州遠征で欧州DF特有のリーチの長さやアプローチの速さを体験済み。W杯本番で戸惑うことはないだろう。

 ポイントは、敵陣にあまりスペースがない中で、どう崩すか。期待したいのは、FW柿谷曜一朗の抜け出しや、MF本田圭佑、MF長谷部誠のミドルシュート、そしてセットプレイからの得点だ。

 特にセットプレイでは、これまでの3年間で培ってきたサインプレイが有効だろう。過去の試合でも、日本はスローインやCKから鮮やかなゴールを奪ってきたが、それをギリシャ戦では駆使してほしい。たとえゴールが決まらなくても、サインプレイで相手を崩した場合、相手にとっては「やられた感」が強く残る。ジャブのような効き目があって、予想以上にダメージを与えられるはずだ。

 前回の南アフリカ大会では、韓国が初戦でギリシャを2-0で下した。あのときのギリシャも「堅守」と言われていた。そう考えれば、日本にとって難しい相手でない。先制すれば、あっさり勝っても不思議はない。

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