強豪相手にどう勝つか。内田篤人が手にした「解答」 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 しかし内田の懸念は、続くベルギー戦で多少は払拭された。完全なアウェーの戦いの中で、逆転勝ちしたのである。

「2試合ともいい試合ができた要因のひとつは、相手よりも走れたからでしょ。シャルケでは、チャンピオンズリーグの試合で負けたとき、選手ひとりひとりの(試合中の)走行距離を出されるんです。で、『おまえは、これだけしか走っていない』って、(首脳陣から)指摘されるんですよ。(ドイツの強豪)ドルトムントやバイエルンは、1試合で選手みんなが走る距離の合計が120kmほどになる。そういう意味では、走るのは基本だし、それがないと勝てないのはよくわかる」

 もちろんベルギーは、走り勝つだけで勝てるような相手ではない。日本の決定力が、数日で飛び抜けてアップしたわけでもない。結果を出せた要因は、他にもある。

「みんな、(試合に)集中していた。そして、(日本の1点目となる)柿谷(曜一朗)のゴールは、(酒井)宏樹の前に出て行く勇気というのももちろんあるけど、ベルギーの左サイドのアザールは相手攻撃に対して、ディフェンスでついてこられないのがわかっていた。そうしたスカウティングも当たっていた。試合に勝てたのは、そういう(日本の)総合的な力があったかな、と思います。あと、後半に入った選手が活躍したけど、チームとしてそういうつながりがあると、勝ちに結びつくのかな、と思いました」

 強豪相手での勝ち方。それは、選手個々のプレイだけではなく、さまざまな力が結集した総合力がポイントになる。オランダ、ベルギーとの2試合で、内田はそのことを確信し、W杯への手応えも少なからず感じたようだった。


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