日本のW杯試合会場、3都市はホームかアウェーか (3ページ目)

  • 大野美夏●文 text by Ohno Mika
  • Photo by GettyImages

 3戦目の会場、クイアバという街は、正直なぜワールドカップ開催都市に選ばれたのか疑問なほど、サッカーというイメージが湧かない土地柄だ。プロサッカーは盛んでなく、これまでサッカーのビッグイベントが開催されたことは皆無である。

 クイアバは日本の本州が入るほどの広さを誇る世界最大級の熱帯湿地帯パンタナールの北の玄関として有名なところだ。パンタナールは自然の宝庫で、日本人がブラジルと聞いてイメージするワニ、ピラニア、美しい色の鳥たちは、実はアマゾンよりもここにいる。

 乾季の6、7月は少なくなった水を求めて動物たちが限られた地域に集まってくるため、バードウォッチング、カピバラウォッチング、ピラニア釣り、ワニの間を馬で散歩するなど、ここでしかできない自然との戯(たわむ)れができる素晴らしいところだ。映画『ジュラシック・パーク』のごとく、恐竜がどこかから出てきそうな大自然の中にいると、人間が小さな存在で、自然や野生動物の中に生きさせてもらっているという気分になる

 というわけで、ここは人間よりも動物たちが似合う地域。とにかく暑い。日中は冬でも40度になる時間があるほどで、暑くて暑くてたまらない場所なのだ。ごくまれに寒波が来て15度まで下がると、放牧している牛たちが寒さのあまり凍え死ぬようなところなのである。

 暑さに慣れている日本人選手にとっても、キックオフの17時というのは、まだ暑さを感じる時間であるだろう。そして対戦相手のコロンビアからしてみると、母国からクイアバまでの距離は3000キロ離れているとはいえ、感覚的にはブラジルはお隣。同じ南米同志、お互いに親近感も持っている。コロンビアにとってはホーム、日本にとってはアウェー感のある土地になるだろう。

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