日本のW杯試合会場、3都市はホームかアウェーか (2ページ目)

  • 大野美夏●文 text by Ohno Mika
  • Photo by GettyImages

 ブラジルではどこに行っても誰もがサッカーをやっているし、すべての州にプロリーグがある。ただ、州によって熱狂度に差があるのも事実だ。この3都市の"サッカー度数"は、サンパウロやリオが10とすると、レシフェは7くらい、ナタールが3くらい、クイアバは2くらいだろうか。

 日本が初戦を戦うペルナンブッコ出身の世界的プレイヤーといえば、1999年にFIFA世界最優秀選手賞にも選ばれたリバウドが有名だ。レシフェには108年の歴史を持つ名門クラブのエスポルチとサンタ・クルスがある。エスポルチは全国リーグ1部で、かつては優勝の経験もあり、目の超えたサポーターがいる土地柄だ。

 コンフェデ杯で日本がイタリア相手に熱戦を繰り広げた時、ジャポンコールが起こったのは、日本が本当にいい試合を見せてくれたことに対するリスペクトであった。ブラジル人に共通する意識として、親日派であると言うことができる。レシフェにはペルナンブッコ、リオ・グランデ・ド・ノルテ、バイアなど東北部の7州を管轄する日本の在レシフェ出張駐在官事務所があるし、日本人会もあり日系人も住んでいる。

 日本代表が試合をする場所として考えると、夏の日本から暑い地域への移動、親日派が多いことなど、ポジティブな要素が多いのだが、対戦相手のコートジボワールにとってもポジティブな場所である。大西洋を渡ればブラジルという距離感、似ている気候、アフリカ系人種の存在と好条件が揃い、さらにエースのドログバはブラジルでもとても人気のある選手だ。サッカーにおける日本代表とコートジボワールの人気度では、やはりコートジボワールに軍配が上がる。ただ、いいサッカーをすれば、いくらでも観客はついてきてくれる。そんな土地柄だ。

 第2戦が行なわれるナタールは、同じ東北部の海岸沿いの街レシフェと似通った気候であり、コンフェデ杯での経験から暑さ対策の事前準備もしやすいはずだ。

 ギリシャは欧州の中では比較的温暖な地域であるが、同じくらい温暖なイタリアやスペインが、コンフェデ杯の時は東北部での試合で疲労が激しく苦しんでいた。そう考えると、蒸し暑さに慣れている日本には気候的に有利と言える。ギリシャと日本の人気度はそれほど差がない。日本人選手がW杯までに活躍すれば、日本人気がギリシャを上回ってもおかしくない。

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