徹底シミュレーション。日本がW杯ベスト8に入るためには? (3ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi photo by AFLO

 守備面では、エースのマリオ・バロテッリ(ミラン/イタリア)を抑えなければならない。バロテッリに気持ち良くプレイさせることは、敗戦を意味すると言っていい。守備陣は、1対1の場面で相手の嫌がるようなボディコンタクトをすることや、ファウルをもらって精神的にイラつかせることも要求される。メンタルを乱せば、バロテッリはそれほど危険な選手ではなくなるからだ。

 当然だが、イタリアは勝負強い。コンフェデ杯と違い、W杯では違う顔を見せることも想像に難くない。ただ、イタリアも日本を警戒するはずなので、積極性を失わないためにも、あまり相手をリスペクトしすぎないほうがいいだろう。奇策を用いずに、正々堂々と勝負することが、実はイタリアに勝つための近道だと思われる。

 最後に、イングランドと対戦する場合である。前評判では、イングランドはグループDの3番手と言われているが、1次リーグ初戦のイタリア戦の結果次第では、十分に決勝トーナメント進出の可能性もある強豪だ。

 とはいえ、ウェイン・ルーニー(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)というエースさえ封じ込めれば、ウルグアイやイタリアほどやっかいな相手にはならないと思われる。特に、現在のイングランドは世代交代の最中で、若手の成長を待っているチーム状況にあるため、タレント不足は否めない。また、サッカーのスタイルも正攻法なので、日本としてはテクニックと運動量と俊敏性という武器を最大限に生かして挑みたい。

 勝つためのポイントは、やはり中盤のセンターに構えるベテランのスティーブン・ジェラード(リバプール/イングランド)と、フランク・ランパード(チェルシー/イングランド)を自由にさせないことだ。このふたりを機能させてしまうと、攻守両面においてイングランドの能力が最大限に引き出されてしまうからだ。トップ下の本田圭佑はもちろん、長谷部誠や遠藤保仁などボランチを務める選手が、このふたりを抑えることができれば、そして、素早いパス回しを駆使して屈強な相手DF陣を慌てさせることができれば、ジャイアントキリングの可能性は高まるだろう。

 もちろん、これら3チームに公式戦で勝利することは簡単ではない。しかし、可能性がある限りそれを目指さなければ、W杯に出場する意味も半減してしまう。残された時間を有効に使って、ぜひともベスト8という快挙を成し遂げてほしいものである。

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