徹底シミュレーション。日本がW杯ベスト8に入るためには? (2ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi photo by AFLO

 その2トップを抑えるためには、ディフェンスラインのコントロールがポイントになるだろう。ヒントは、宮城での親善試合における最初の失点シーンだ。ハーフウェイライン付近までディフェンスラインを上げていた日本が、相手陣内深い位置からの縦パス1本でスアレスに裏を取られ、そのままカウンターで失点してしまった場面である。

 スアレスとカバーニはディフェンスとの駆け引きが超一流ゆえ、彼らをオフサイドで防ごうとするのはあまりにも危険だ。ディフェンスの4人はラインを保ちながらも、危険だと感じた瞬間にラインをブレイクし、素早く下がって裏を取られないような対応をすることが必要になる。また、ある程度ふたりと間合いを取った位置でラインコントロールすることもやむを得ないだろう。最近スーパーサブ的存在になっている34歳の点取り屋フォルランもベンチに控えているため、日本の守備陣にとっては頭の痛いところだが、とにかく集中力を切らさないことが最重要課題となりそうだ。

 攻撃に関しては、相手との激しいコンタクトでファウルをもらいながら、セットプレイの回数を増やすことが有効な手段となるはず。真っ向勝負で相手DFを崩したい気持ちも分かるが、ウルグアイの選手個々は1対1の守備力が高いので、カウンター対策のためにもパス本数は少なめのほうがいい。理想は、打ち合いを避け、速攻を意識しながら少ないチャンスをものにするパターンだ。そうすれば、2012年10月12日にパリで行なったフランス戦(後半43分にカウンターから香川真司がゴールを決めて1-0で勝利)のような再現も可能なはずだ。

 逆に、決勝トーナメント1回戦の相手がイタリアとなった場合は、コンフェデ杯で戦ったときのような積極的な攻撃が必要になる。最終的には3-4で敗れたものの、前半2ゴールで主導権を握ったあの戦い方だ。

 クラウディオ・チェーザレ・プランデッリ監督率いるイタリアは、イタリア伝統の守備力を前面に出すのではなく、攻撃的サッカーを好む。それだけに、引いて守ると相手の術中にはまりやすい。よって、日本の特長でもある俊敏性を最大限に生かし、素早いパス回しで相手DF陣を混乱させれば、自ずとゴールは近づくはずだ。

 ポイントは、コンフェデ杯でもそうだったように、アンカーのアンドレア・ピルロ(ユベントス/イタリア)にボールが入ったところで、ボールを奪えるかどうかだ。ピルロにボールが渡ったときは、イタリアの攻撃のスイッチが入るときでもある。そこでボールを奪うことができれば、ショートカウンターが成功する確率も高くなるというわけだ。

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