堅守ギリシャ。その牙城を崩すカギは、本田圭佑にあり (2ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

 一方、両サイドバックは俊敏性と機動力を兼ね備えている。左サイドバックのホセ・ホレバス(オリンピアコス/ギリシャ)は、右サイドやサイドハーフもできるユーティリティープレイヤーで、右サイドバックのバシリス・トロシディス(ローマ/イタリア)同様、カウンター時は積極的に攻撃に参加する。

 また、中盤の底でアンカー役を務めるアレクサンドロス・ツィオリス(PAOK/ギリシャ)は、中盤4人と最終ライン4人が空けたスペースを献身的に埋め、ある意味、それがギリシャの堅守の支えとなっている。

 中盤の4人は、右からディミトリス・サルピンギディス(PAOK/ギリシャ)、ヨアンニス・マニアティス(オリンピアコス/ギリシャ)、コンスタンティノス・カツラニス(PAOK/ギリシャ)、そしてゲオルギオス・サマラス(セルティック/スコットランド)が並ぶ。

 ポイントは、両サイドハーフのサルピンギディスとサマラスだ。右のサルピンギディスは機動力と攻撃センスに優れ、左のサマラスはかつて中村俊輔のチームメイトだった長身FWで、彼らアタッカーをサイドハーフに置くことでスピーディーかつアグレッシブなカウンターアタックを可能にしているのだ。

 そして、日本が最も警戒しなければいけないのが、1トップのコンスタンティノス・ミトログル(オリンピアコス/ギリシャ)である。ミトログルは決して器用なタイプではないが、相手ディフェンスラインの間を突いて裏のスペースに飛び出すプレイと、強烈なミドルシュートを武器とする本格派のストライカーだ。DFとの駆け引きもうまく、味方からのクロスへの入り方を含めてエリア内のポジショニングにも優れている。

 チームを率いるのは、ポルトガル人のフェルナンド・サントス監督。怪我のため若くして現役を引退したが、指導者としてキャリアを重ねきた人物だ。ポルトガルの名門ポルトが、偉業となるリーグ5連覇(1994-1995~1998-1999)目を成し遂げたときの監督(1998年~2001年まで指揮)として名をあげると、その後はAEKやパナシナイコスなどギリシャの強豪クラブの監督を歴任。そして2010年、名将オットー・レーハーゲルの長期政権を引き継いで、ギリシャ代表監督に就任した。

 ギリシャをヨーロッパチャンピオンに導いたレーハーゲル前監督はクラッシックなスタイルを貫いたが、フェルナンド・サントス監督は前任者のコンセプトをベースに、モダンなエッセンスを加えて、現在のチームを作り上げている。特に守備から攻撃へ移るときのアグレッシブさは、レーハーゲル時代にはなかった要素だ。

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