コートジボワールを蘇らせた、ザック戦術を知る「教え子」 (3ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

 一方、攻撃面では、できるだけ相手陣内でボールを保持することが重要になる。そのためにも、岡崎慎司、香川真司、柿谷曜一朗といった俊敏性のある選手が、相手DFとダブルボランチの間のスペースを動き回りたい。そうすれば、最終的に個人能力に頼った守備をするコートジボワールDF陣を、混乱させることができるはずだ。そこでもし、ペナルティーエリア付近でファールをもらえば、本田圭佑や遠藤保仁のFKのチャンスにつながる。何にしても、前線の選手の体力と走力を駆使することが大事になる。

 そして、日本のキーマンとなるのは、左サイドバックの長友佑都だ。コートジボワールの右サイドバックを務めるオーリエは、弱冠20歳の選手。個人戦術という部分で十分に付け入る隙がある。また、右ボランチのジャン・ジャック・ゴッソ(ゲンチレルビルリイ/トルコ)も守備面で粗さが目立ち、ボールを失うことが多い選手。香川、本田、遠藤と絶妙に絡み合う長友のオーバーラップは、日本の大きな武器だ。積極的に左サイドから仕掛けるべきだろう。

 奇しくも、長友の代表デビュー戦は、2008年5月24日の、対コートジボワール戦(1-0)だった。当時のコートジボワールは2軍レベルのチームだったとはいえ、長友はフィジカルで負けていなかった。冒頭のスイスでの親善試合では何もできなかったが、イタリアで個人戦術に磨きをかけた現在の長友なら、左サイドを制圧することも可能なはずだ。

 いずれにしても、過去2大会で「ダークホース」と言われながらグループリーグ敗退という屈辱を味わっているコートジボワール。今大会へのモチベーションは高く、前回大会の初戦で戦ったカメルーン(1-0)とは違って厳しい相手となる。日本はハードワークを重ねてセカンドボールを拾い、できる限りボールポゼッションを高めることが重要。そして、「武器」となる左サイドの攻撃で少ないチャンスを生かすことが大切だ。

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