2013.12.11

コートジボワールを蘇らせた、ザック戦術を知る「教え子」

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

 その後、イタリアに活躍の場を移して、パルマ(2000年~2003年に在籍)では中田英寿とともに国内カップ優勝(2001-2002)を果たした。2003年からは、ザッケローニ監督率いるインテルでもプレイした。出場機会に恵まれず、2004年にはジェノアにレンタル移籍することになるが、ザッケローニ監督から直接指導を受けた経験を持つ彼の存在は、日本にとって不気味と言える。

 選手としてはそうした経歴を持つラムシだが、指導者としての経験は今回のコートジボワール代表監督が初めてのこと。2009年に現役を退いてからは解説者をしていたため、ブラジルW杯アフリカ地区予選開幕直前の2012年5月に就任したときは、ある意味"素人監督"だったのだ。

 ところが、ラムシは経験のなさを人心掌握術でカバー。そして、ややマンネリ化していたチームを改革すべく、名前にこだわらず調子のいい選手を積極的に起用した。今ではスタメンに定着しつつあるトゥールーズ(フランス)のDFセルジュ・オーリエをはじめ、サンテティエンヌ(フランス)のMFマックス・グラデル、スウォンジー(ウェールズ・プレミア)のFWウィルフリード・ボニー、アンジ・マハチカラ(ロシア)のFWラシナ・トラオレ、あるいはバーゼル(スイス)のFWジョバンニ・シオや、デュッセルドルフ(ドイツ)のFWマティス・ボリーといった次世代のタレントたちがベテランを脅かす存在になった。

 結果的に、その采配は予想以上の効果をもたらしたと言っていい。というのも、中国の上海申花でプレイしたことで身体が鈍ってしまったドログバは、トルコのガラタサライに戦いの場を移した。フィジカルを復活させて、代表での存在感も取り戻すことに成功した。また、衰えが著しかったカルーも、今シーズンはやる気を見せて絶好調。現在スタメンから外れることが多くなったヤヤ・トゥーレの兄コロ・トゥーレ(リバプール/イングランド)も、今はポジションを取り戻そうと必死になっている。

 そんなチームのカギを握るのは、司令塔のヤヤ・トゥーレだ。ロングボールで一気に裏を狙うパターン以外は、おおよそ彼を経由してサイドを使ってからフィニッシュする。さらに、ローマで大活躍しているジェルヴィーニョも危険な選手。基本は前線の左サイドでプレイしているが、右サイドのカルーと頻繁にポジションチェンジを繰り返すので、つかまえにくい選手でもある。

 日本としては、まずはドログバを含めた3トップの裏に抜け出すスピードに注意する必要があるだろう。特にドログバは、DFとの駆け引きも巧みなので、吉田麻也と今野泰幸はラインを押し上げながらも、危険だと判断したときは迷わず下がって対応する必要がある。スピードでは勝てないので、お互いの距離感を常に意識して速攻に備えたい。