2013.12.04

名波浩の代表総括。オランダ戦で南アW杯からの進化が見えた

  • 飯尾篤史●構成 text by Iio Atsushi
  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

 オランダ戦に続いて、ミスから先制されたのはいただけなかったが、オランダ戦同様、日本はそこで気落ちするような様子はなかった。そして、前半のうちにしっかり同点に追いついた。

 同点ゴールは、右サイドバックの酒井宏樹のクロスを、FW柿谷曜一朗が頭で決めた。酒井宏は今、ハノーファーでレギュラーとしてプレイしているものの、日本代表ではあまり出番に恵まれていない。もっと起用してもらうには、結果を出してザッケローニ監督にアピールするしかないわけで、そんな意気込みを十分に感じさせるクロスだった。それを決めた柿谷にとっても、“代表スランプ”から抜け出す一発になったと思う。

 コンビネーションで奪った2点目と3点目も良かった。オランダ戦の2点目もそうだが、練習でずっとやってきたパターンで結果を出したのは大きい。チームにとっても、選手個々にとっても、自信につながる。とりわけ、ベルギー戦の2点目は、遠藤からの絶妙なパスを本田が右足で叩き込んだもの。本田は試合前、右足でのシュートを入念に繰り返していた。そのときは入っていなかったけれども、本番できっちり結果を出すあたりは、大したものだ。

「オランダもベルギーも本気じゃなかった」という声もあるようだけど、それは気にする必要はないだろう。なぜなら、日本が奪った5ゴールはいずれも意図を持って崩したものだからだ。

 偶然だったり、相手のミスに助けられたりしたものではない。しかも、大迫、柿谷、岡崎慎司、本田と、結果を出すべき選手が出した。さらに、内田篤人と酒井宏といったサイドの選手まで得点に絡んでいる。狙いどおりの形でゴールを奪ったことは、高く評価すべきだと思う。

 また、攻撃の調子を測るバロメーターに、ワンタッチプレイが多いかどうかというのがある。ワンタッチプレイが多いのは、そこに迷いがないからで、選手間の距離やサポートのタイミングがいいということでもある。今回の日本はまさにそうだった。だからこそ、いい形を再三作ることができた。

 長谷部や山口螢、本田が見せたように、“ボールに行き切る”守備ができたのも収穫だ。これは、相手に感化される部分もあるのだが、例えばベルギー戦では相手のボランチ、ウィツェルやデンベレがバチバチとボールを奪いに来た。そうなると、こちらも行かなければ、という気持ちになるもの。そして実際、ベルギー戦ぐらいガツガツ行ければ、簡単に個に振り切られることもなくなるはずだ。あとは、チャレンジ&カバーの関係をさらに順序立てて、より強固にしていってほしいと思う。

 もうひとつ、10月のセルビア戦、ベラルーシ戦のときと比べて今回は、フレッシュな選手がアピールに成功し、チームが活性化されたのも大きい。

 こうなると、ザッケローニ監督に本心を聞いてみたい。10月の東欧遠征ではなぜ、2試合ともメンバーを変えなかったのか、と。逆に今回は、どんな狙いがあって2試合でメンバーを大幅に入れ替えたのか、と。

 いずれにせよ、W杯開幕前までの間で、主力選手に怪我などのアクシデントが絶対に起きないとは言い切れない。今回の遠征でバックアップメンバーのモチベーションが上がり、選手層が厚くなったのは、間違いなく好材料だ。

関連記事