本田圭佑「オランダ戦とベルギー戦を総括する」 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

 オランダとベルギーという強豪相手に1勝1分けの勝ち点4。W杯本番を想定すれば、グループリーグ突破の確率はかなり高まったように見える。日本代表の今後を考えるうえで、その結果は本田にとってプラス要素ではなかったのだろうか。

「(今回の)ベルギー戦は、僕らは(オランダ戦から)中2日の試合で、相手は僕らよりも余裕がある状況だった。W杯でもこういうことはあるだろうし、(そうした日程になれば)自分たちの動きにも問題が出るかもしれない。そんな中、(ベルギー相手に)どれだけ臨機応変にやれるかが大事だった。アウェーの、あの緊張感の中で、2失点したという反省点はあるものの、3点目を許さないという、ギリギリの(勝つ)サッカーができたのは、いい経験になったと思います」

 それでも、本田の表情が晴れることはなかった。唯一、声が明るくなったのは、今回チャンスをもらって活躍した、大迫や山口螢らの名前が挙がったときだった。

「いいですね、みんな、能力が高いです。FWのレギュラー争いが激しくなってきましたし、当然ながら中盤もそうだし、僕にいたっても同様で、安泰なポジションはないと思っている。しっかり結果を出し続けた選手が試合に出られる。代表は、そういう存在であり続けられたらいいと思います」

 昨年10月の欧州遠征で、フランス(1-0)とブラジル(0-4)と戦ったあと、本田は「来年(2013年)は、さらに個を伸ばすこと」を強調していた。その一年が終わり、今回の2試合の結果を受けて、本田はブラジルW杯までに何をすべきだと考えているのだろうか。

「今回思ったのは、やはり“個”の重要性ですね。そこは揺るがない。試合をやっていて、毎回、そう思います。W杯まで、所属クラブに戻って、チームとして、個人として、それぞれの課題に取り組むというだけです。W杯では、日本は背負うものが何もないチャレンジャー。(各国に)なめられた状態で行くくらいがちょうどいいんですけど、(香川)真司や(長友)佑都がビッグクラブでやっているんでね、(日本の実力が)バレバレになっている。まあでも、(日本は)まだまだそんなに評価されていない。(W杯では)そうやってなめているやつらを、ひとりひとりぶっ潰していくだけです」

 もしかすると、チームも、個人も、本田が思い描いていたほどの成長は、この一年間では得られなかったかもしれない。だが、今年最後の欧州遠征では、チームがひとつになって、可能性を見出せる試合ができた。それは、本田の言う「W杯での勝算」を高めるうえで、貴重なサンプルになったはずである。

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