オランダ戦、ベルギー戦出場19選手、識者たちの採点表

  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

ベルギー戦に勝利し、選手たちは一定の手応えを口にしていたベルギー戦に勝利し、選手たちは一定の手応えを口にしていた 強豪相手に1勝1分けという成績をあげた今回の欧州遠征。サッカージャーナリスト4人が出場全選手を採点する(10点満点で平均は5.5点。2試合に出場した選手はその平均)。いずれも"新戦力"への評価は高かった。

新戦力の台頭は収穫だが、チームとして課題も――浅田真樹

 中2日で2試合という日程的な事情が後押ししたのか、ザッケローニ監督がようやく重い腰を上げ、数多くの選手を先発起用。しかも選手それぞれが期待に応え、収穫の多い遠征だったと思う。

 特に山口は出色で、かえすがえすももっと早くこうした機会を与えるべきだった。もはや2ボランチの軸に据えてよく、相手関係やゲームプランに応じてパートナーに長谷部か遠藤かを選択すればいいのではないか。森重も同様で、対戦相手に応じて吉田のスピード不足、今野の高さ不足を補える存在であることを示した。GKにしても、もっとチームとしてボールポゼッションを高めたいなら、西川の起用が優先されていい。

 とはいえ、こうした収穫を単純に喜びにくいのは、なぜもっと早くこれができなかったのかという疑問をどうしても拭いきれないからだ。コンフェデ以降の5ヵ月ほどを無駄に過ごしてしまったのではないか。新戦力の台頭という大きな収穫があったからこそ、その思いは強くなる。

 また、選手個々に目を向ければプラス材料が多いとはいえ、チームとして行なわれたサッカーの内容に目を向ければ、それほど1勝1分けという結果に相応しいものではなかった。本当の意味で日本が目指すサッカーができていたのは、オランダ戦の後半だけだ。

 特にベルギー戦は、チームとしてほとんど攻撃の形を構築することができなかった。3点はいずれもスーパーゴールだったが、完全に崩し切った日本らしいものではない。有り体に言えば、「たまたま」。むしろ3-1とリードしてからもなお、簡単なボールロストが目立ち、試合を落ち着かせることができなかったのは気になる。遠藤、大迫あたりにその役割を期待したが、いずれもバタバタした展開のなかに埋没してしまった。

 新戦力の台頭は収穫だったが、チームとして行なっているサッカーには依然課題が多く、再整備が必要。それが今遠征の印象である。

GK
西川周作 6
ビルドアップを考えれば、レギュラー起用を考えていい
川島永嗣 5
致命的になりかねない判断ミスからの失点。このところポカが目立つ
DF
長友佑都 5.5
攻撃の流れに乗れず、かつてのような強さが出せていない
吉田麻也 6
スピード対応に不安を残したが、その他はまずまずの出来
今野泰幸 6
自らボールを運び、攻撃の起点になれる特徴は他にないもの
内田篤人 5.5
失点に直結するミスあったが、後半の攻撃でかなり挽回した
酒井高徳 5
失点につながる大きなミス。攻撃面でも連携を構築できなかった
酒井宏樹 6
周囲との連携は不十分も、あらためてクロスの精度の高さを示した
森重真人 6.5  
1対1、カバーリング、ビルドアップといずれも高いレベルにあった
MF
長谷部誠 6
ミスは減ったが、攻撃の構築という点では物足りなかった
山口 螢 7
今遠征最大の収穫。足を止めず、常にボールに関わり続けた
遠藤保仁 6
流れを変えるスーパーサブ的役回りも現実的な選択になった
細貝 萌 5.5
クローザーの役割しか与えられず。それ以上でも以下でもない
清武弘嗣 5.5 
2試合に先発出場もインパクト残せず。決め手に欠ける
本田圭佑 6.5
ボールロストも目立ったが、ここ一発の魅力は捨てがたい
岡崎慎司 6.5
前線での精力的な動きは相変わらず。ゴールはスーパーだった
香川真司 5
オランダ戦はともかく、ベルギー戦は完全に試合から消えていた
FW
大迫勇也 6
交代出場のベルギー戦ではオランダ戦のようなリズムを作り出せず
柿谷曜一朗 6 
1ゴール1アシスト以外はほとんど試合の流れに乗れていなかった
監督 
ザッケローニ 6
新戦力の起用で手駒を増やした。もっと早くやってほしかったという不満も残る

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