ベルギー戦勝利で浮かれる日本に、警鐘を鳴らす遠藤保仁 (3ページ目)

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi
  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

 2006年ドイツ大会に挑んだジーコジャパンは、本大会直前にドイツと2-2の好ゲームを演じ、チーム状態が上向いた。が、続くマルタ戦(1-0)は凡戦となり、大会前の一喜一憂が本大会での惨敗の一因になった。

 前回(2010年南アフリカ大会)の岡田ジャパンは、W杯イヤーに入って香港(3-0)にしか勝てず、どん底の状態で開幕を迎えた。だが、初戦の勝利(カメルーンに1-0)で好転し、ベスト16進出を果たした。

 まさにチームは“生き物”だと身を持って経験しているからこそ、この2試合の善戦で浮かれることの危うさ、あるいは、チーム作りの過程で一喜一憂することの無意味さを説いているのだろう。

「すべての精度をまだまだ上げていかなければいけないし、セットプレイの失点も多いので、もっと工夫して守らなければならない。それに、今日のベルギーも決して100%の力ではないと思うし、もし相手が日本の攻撃に対して(マンツーマンなどで)完全にハメてきたときにはどうするのか。これも大きな課題だと思う。個人的にはその辺りをイメージしながら、あえて(チームの)バランスを崩して、(相手のマークを外して)スペースを空けるといったことにもトライしていきたいと思っている」

 試合に勝とうが負けようが、常に冷静なスタンスで試合を振り返ることができる遠藤。頭の中には、強豪と渡り合うために克服すべき課題がしっかりと刻まれている。すべては、W杯で結果を出すためである。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る