あえてザッケローニに要求する。まだ物足りない選手起用法 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text Sugiyama Shigeki
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 残り8分での細貝投入は、紛れもない守備固めだ。その2分前に日本は3対1から3対2に追い上げられていた。だが、細貝を入れてもその流れは止まらなかった。それどころか、いつ同点にされてもおかしくない劣勢に陥った。それまでの日本のよい流れは、その交替によって結果的に寸断されることになった。

 細貝投入は常道とも言うべき作戦だが、ベルギー戦は一方でテストマッチだ。すでにオランダ戦で結果は十分出ていたし、ベルギー戦もそれまでの戦いで「やれる」という自信をつかんでいたはずだ。たとえ攻撃的に出て3対2から3対3にされても、あるいは3対4にされても、その自信が揺らぐことはなかったはずだ。

 もしそれで敗れれば、結果至上主義者は勝てなかった理由を追及するに違いない。だが、いま問われているのは内容なのだ。ザッケローニも「結果ではなく内容だ」と、この2連戦に先立って述べていた。もし最後まで正攻法を貫き、それで勝利を飾ることができれば、勝利プラスアルファの収穫を得ることになる。

 それは日本のマックス値を探るまたとない機会だったのではないか。結果を恐れず、最後までもっとガンガンいくべきだったと僕は思う。ベルギーもその方が嫌だったはずだ。ベルギーのサッカーはけっして上手くいっていなかったのだから。

 何度も言うが、サッカーは可能性を探るゲームだ。次に対戦したら、どんな結果になるか。問われるのは10回戦って何回勝てるか、だ。「今回は勝ったけれど、次はやられそうだ」、「親善試合では勝ったけれど、本大会ではやられそうだ」ではマズイのだ。

 ザックジャパンは南アW杯ベスト16という結果を受けてスタートした。大きな声では言えないが、前回は少しばかりまぐれっぽい結果だった。とはいえ、少なくともファンは可能性という点で、岡田ジャパン以上のものを望んだ。それ以上の期待感を抱こうとした。ザッケローニはそうした国に、いわば救世主として、しかも4年契約同然の高年俸で招かれたわけだ。

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