あえてザッケローニに要求する。まだ物足りない選手起用法

  • 杉山茂樹●文 text Sugiyama Shigeki
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 強豪相手にメンバーを入れ替えて臨むことは勇気が要る。しかし試合間隔は中2日。ザッケローニは、好むと好まざるとにかかわらず、勇気をふり絞らざるを得ない状況に追い込まれたのだ。

 この2試合に先立ち、原博実技術委員長が、「W杯までザッケローニでいく」と、宣言したことも幸いしたと思われる。もし敗れてもクビになることはない。その安心感が、彼の気を楽にしたことは確かだろう。

 だが僕は、それでもなお食い下がりたくなる。その采配に注文を付けたくなるのだ。理由はメンバー交代の幅と質にある。

 オランダ戦とベルギー戦のメンバーを比較してみたい。

オランダ戦
GK 西川周作
DF 内田篤人(酒井宏樹)
   今野泰幸
   吉田麻也
   長友佑都(酒井高徳)
MF 山口螢
   長谷部誠(遠藤保仁)
   清武弘嗣(香川真司)
   本田圭佑
   岡崎慎司
FW 大迫勇也(柿谷曜一朗)

ベルギー戦
GK 川島永嗣
MF 酒井宏
   森重真人
   吉田
   酒井高(今野)
MF 山口(遠藤)
   長谷部
   清武(岡崎)
   本田
   香川(細貝萌)
FW 柿谷(大迫)

 ベルギー戦では香川と細貝の交代以外、全て同ポジション同士の交代だった。

 82分、細貝が守備的MFに入り、守備的MFの遠藤が1トップ下へ。1トッ プ下を務めていた本田が右に回り、右にいた岡崎が左に――というものだが、すなわち、戦術的な交代はそれしか行なわれなかったことになる。アイデア豊富という感じでは全くない。その唯一の戦術的交代も成功したとは言い難い。

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