ベルギーに勝利。最大の収穫は酒井宏樹の言葉にあり (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Fujita Masato,Noto Sunao(apresto)

 そうしたことを考えれば、ベルギーから得た勝利が「日本らしいサッカー」の末に手にしたものだったのかは疑わしい。

ベルギー戦で右サイドバックとして先発し、1点目の柿谷のゴールをアシストした酒井宏樹ベルギー戦で右サイドバックとして先発し、1点目の柿谷のゴールをアシストした酒井宏樹 だとしても、出場機会の少なかった選手たちがこうした国際試合で、しかもFIFAランク5位のチームを相手にアウェーの地で、結果を残すことの意味は大きい。

 内田篤人に代わり、右サイドバックとしてベルギー戦にフル出場した酒井宏樹は「誰が出ても(一定の)クオリティを保ちたい」と言い、「(これまでは)途中出場が多く、スタメンはあまりなかったので、チャンスだと思って気合いの入ったプレイができた」と振り返る。

 また、ザッケローニ監督も「オランダ戦に出なかったメンバーがフレッシュさを出してくれた」と選手たちを称えた。

「まだワールドカップへ行くグループ(メンバー)は決まっていない。海外組、Jリーグ組を問わず、みんなにチャンスがある」

 そんな指揮官の言葉にも、ようやく信憑性が生まれたのではないだろうか。
 
 惜しむらくは、せっかく活性化し始めた日本代表に来年3月まで国際試合の予定がないことである。ここで4カ月も間が空いてしまうのは「もったいない」というのが率直な印象だ。

 それでも、選手それぞれが不安や不満を抱えたまま、年を越すよりはずっといい。少なくとも、ザックジャパンは閉塞感と停滞感ばかりが充満していた最悪の状態からようやく抜け出したといえる。

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