日本がオランダに「善戦」したもうひとつの理由 (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 メンバーを固定化してきたザッケローニのこれまでの采配を振り返れば、それが妥当な推理だ。中2日の強行軍が、結果的にラッキーに作用した。善戦した最大の原因だと僕は見る。ザッケローニが自発的に心を入れ替えたのなら評価してもいいが、それがあくまでも外的要因によるものなら話は別。善戦は偶然性の高いものだということになる。

 中2日で行なわれるベルギー戦でも、ザッケローニはメンバーをいじるつもりのようだ。「選手の回復具合を見て」と彼は述べているが、それは試合間隔に関係なく、 常に行なわれるべきものなのだ。それがチームの活性化に繋がる。新たな可能性の発掘に繋がるのだ。そのあたりの追求をザッケローニは怠ってきた。敗戦を恐れ、自分を安心させるメンバーを組んできた。

 W杯でグループリーグを突破し、ベスト8を狙おうとすれば、試合数は5試合になる。そのためには、それこそフィールドプレイヤー20人全員に、使える目処が立っていなければならない。にもかかわらず、ザッケローニは固定化を貫いた。彼に対してノーと言いたくなる、それこそが一番の原因だ。そのことを我々は忘れるべきではないと思う、1試合の善戦で。

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