川島永嗣からは見えていた「守備の穴」と「攻撃の欠陥」 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano MIKI

「要所、要所におけるカバーとか、(相手)ボールに行き切れないときはコースをしっかり切るとか、そういうことはだいぶできていた。でも、失点のシーンでは、ボックス内にDFの人数はそろっていたにもかかわらず、ボールに詰め切れなかった。欧州ではどんなチームでも、ちょっとくらいパスやボールの位置がズレていても、シュートを入れてくる。これが、アジアとの差だなって改めて思いました。

 8月のウルグアイ戦(2-4で敗戦)のときも、その差を痛感した。カウンターを食らいそうな瞬間、アジアレベルなら誰かひとりがチェックに行けば(攻撃の芽は)潰せたけど、世界レベルの相手には、プレッシャーをかけてもボールは奪えず、うまくキープされて攻撃の起点を作られてしまった。セルビア戦やベラルーシ戦ではそこまでの差を感じなかったけれども、ちょっとした隙を見せたところで、簡単に点を取られた。最後の詰めじゃないけど、そこをしっかりと突き詰めることができなかったのは、大きな反省点だと思う」

 さらに今回は、守備だけでなく、攻撃陣まで沈黙。新たな問題として浮上した攻撃については、川島はどう見ているのだろうか。

「攻撃に関しては......、う~ん、まったくチャンスがなかったというわけではないと思う。ただ、(パスを)つなげるのは自分たちの良さではあるけど、ダイナミックスさというのが欠けていた。もっとピッチを大きく使う展開があってもいいと思うし、組織で打開していくだけではなく、相手が隙を見せたら個人で突破していってもいいと思います」

 最後方に位置する川島からは、タテに行けばチャンスになるというシ-ンが何度も見えたという。だが、そういうときに限って、横にパスを出したり、ボールを下げたりしていた。その度に「どうしてゴールに向かっていかないのか」「なぜ個人で勝負を仕掛けていかないのか」と歯がゆい思いを抱いていたという。

「1トップの柿谷(曜一朗)にしても、周囲にもっと要求してもいいと思うし、もっとわがままにプレイしてもいい。チーム全体としても、パスでつなぐことは大事だけど、それだけじゃ世界のトップレベルは崩せない。ドリブルで仕掛けるとか、攻撃のバリエーションを増やして、さらに精度も高めて、相手の隙を狙っていくことが絶対に必要だと思う」

 攻守がまったくかみ合わなかった2試合。この敗戦のショックは、決して小さくない。なにしろ、W杯本番でグループリーグ突破を考えたら、同組に必ず入る欧州中堅クラスとの結果が重要になる。にもかかわらず、その欧州予選を突破できなかったチームにさえ勝てなかったからだ。9月のガ-ナ戦でつかみかけた自信も萎えてしまったようだ。

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