2013.11.11

セットプレイのプロコーチがザックジャパンにラブコール

  • 宮崎隆司●取材・文 text by Miyazaki Takashi
  • photo by Getty Images

 この「23ゴール」は、フィオレンティーナの昨季総ゴール数の約32%。ほかのセリエAのクラブのセットプレイからのゴール数は総得点の約15〜20%であることを考えると、この数字が抜きんでていることがわかってもらえるのではないだろうか。ヴィオの加入で、フィオレンティーナにとって「武器」が増えたことは間違いない。

 その指導法は至ってシンプルだ。まずは対戦相手を綿密にスカウティングし、その情報をもとに、週末の金・土と2回のトレーニングを行なうに過ぎない。しかも、一度のトレーニング時間はわずか20分程度。

 その練習方法を記した「ジャンニ・ヴィオ流トレーニング」の詳細なメモと資料が手元にあるのだが、残念ながらその中身を公表することはできない。言うまでもなく、ヴィオとフィオレンティーナにとって「企業秘密」であるためだ。

 したがって、ここで記すことが許されるのは、攻撃におけるセットプレイのメニュー(フォーメション)が6000パターンを超えるという事実と、それを駆使した結果としてセットプレイからのゴールが確実に増えたという事実、さらに、その6000パターンすべてにおいて、各選手の役割が実に細かく決められているという事実である。

ジャンニ・ヴィオコーチは、Jリーグの試合映像を分析することもあるという photo by Miyazaki Takashi ヴィオは、選手の役割を説明するうえで、『ひとりひとりが、与えられた役を演じる』という言い方をする。ちなみに、ヴィオの近著はタイトルを直訳すれば「優れたセットプレイは年間15ゴールに相当する」。

 また、このジャンニ・ヴィオという存在に、あのバルセロナも注目しているという。ヴィオは来年6月末日までフィオレンティーナとの契約に拘束されるが、それは欧州内に限られた話。代表チームのコーチであれば、明日にでも契約が可能である。まさに引く手数多(あまた)という状態だが、ある理由からヴィオ本人が他ならぬ日本での指導を強く希望している。

 いわく、「緻密な戦略を具現化するには、緻密な頭脳を持つ選手たちが必要であり、その意味において、まさに日本の選手こそが私の理想に最も近い。したがって、私の理論は彼らの高い知的欲求に必ずや一致する。そうすれば、これ以上ない形の結果をもたらすことができるはずだ」

 ザッケローニ監督、そして日本サッカー協会技術委員の皆様、こうした人材の補強は検討に値すると思われるのだが、いかがだろうか――。

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