セットプレイのプロコーチがザックジャパンにラブコール (2ページ目)

  • 宮崎隆司●取材・文 text by Miyazaki Takashi
  • photo by Getty Images

 そう考える中で浮かんでくるのが、セットプレイを今よりもさらに強力な「武器」とできるように策を講じることだ。日本は本田圭佑、遠藤保仁というFKのスペシャリストを擁している。もちろん、今季のJリーグMVP候補とされる中村俊輔が割って入るようであれば、彼の左足も貴重な武器になることは間違いない。つまり、優秀なキッカーがいるからこそ、FKに工夫を凝らすことは価値があるはずだ。

本田圭佑、遠藤保仁という精度の高いFKを蹴る選手がいることは日本のストロングポイントのひとつ本田圭佑、遠藤保仁という精度の高いFKを蹴る選手がいることは日本のストロングポイントのひとつ ところが、日本代表に限らず多くの代表チームでもクラブでも、セットプレイに対する関心が高いとは言えない。軽んじられているわけではないにせよ、かといって非常に重きが置かれているとまでは言えない。

 だからこそ、ここにチャンスがある。精度の高いボールを蹴る選手がいるのだから、ならばそれを受ける側の選手たちの動きを今よりも緻密にすれば良い。幸い、日本人はこの「緻密さ」という部分において世界レベルにある。この特性をセットプレイに生かせば、貴重な「得点源」となり得るはずだ。

 そして、攻守においてセットプレイの精度を高める必要があるのだが、そのためにはやはり、「その道のプロ」の存在が不可欠である。以上をふまえたうえで、是非ともザック監督とそのスタッフ、および日本サッカー協会技術委員の要職にある方々へ伝えておきたいのが、ジャンニ・ヴィオという「セットプレイのプロ」の存在である。
 
 現在の彼の肩書きは、セリエAのフィオレンティーナにおける「セットプレイ専門コーチ」。ちなみに、この名称の専門職を置くクラブは、欧州全土を見渡しても現状ではフィオレンティーナに限られる。

 コーチ歴32年のヴィオは昨季(2012-13)、フィオレンティーナのコーチ就任1年目にして、セットプレイからの得点を前年よりも15多い「23(全38試合)」まで増加させた。これは、バイエルンやバルサといった強豪クラブを抑えて欧州ナンバー1の数字である。

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