なでしこジャパン2013年、佐々木監督の総合評価は?

  • 早草紀子●文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

「代表B的な養成ってどうなんだろうって思うところもあったんだけど、やっぱり必要だと感じた。(その役目は)U-20女子代表でいいじゃないかというんじゃなくて、なでしこリーグでレギュラークラスになれなくてものぼり調子の選手には国際経験も必要。東アジア競技大会で戦った中国や北朝鮮は非常にいいチームだった。本当の意味で今の主力が卒業したあと、この状況では困る」(佐々木監督)

 そう考えるひとつに東京オリンピックの開催が決定したことがある。北京オリンピックでの経験がロンドンへつながったように、リオデジャネイロでの経験を東京に生かさなければならない。2015年のカナダワールドカップも含めて、未来につながる強化が必要だ。

 そして、来年5月には早くもワールドカップ予選となるアジアカップが控えている。その前にやらなければならないことがあると、佐々木監督は言う。

「それはベテランのテスト。世界大会は1週間おきの試合じゃない。厳しい日程の中でどれだけやれるか。来年のアルガルベカップ(3月)あたりでテストしたい」

 当然ながらベテラン勢の技術と経験は申し分ない。問題はコンディションのコントロール。このテストでどれだけのベテランが生き残れるか、アルガルベカップはチーム構成を左右する最大のターニングポイントになりそうだ。

「最初から上手くやろうとは思ってないよ」と笑う佐々木監督。想像以上に、"発掘"よりも"課題・評価"という方が大きくなった一年目ではあったが、明らかにこれまでとは異なるチームの作り方に着手している。若手の"奮闘待ち"に慣れているベテランが、今度は自らがテストされる立場に立つ。自身のメンタル、体力との勝負。来季のなでしこジャパンの試合は、そのひとつひとつにさまざまな挑戦が見られることだろう。

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