問題放置のザッケローニ監督。11月欧州遠征で交代の決断を (3ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

 12年2月に豊田スタジアムで行なわれた3次予選最後のウズベキスタン戦で、相手が狙っていたカウンターに対する備えをおろそかにしたことによって敗北(0-1)を喫した後、日本は親善試合でも同じようなカウンターを受ける場面が目に付くようになっていた。

 就任当初に見せた勝負に対するこだわり、あるいは自ら掲げるチーム戦術の徹底という部分で、もはや指揮官に妥協が見られ始めたのかと思われたが、ザッケローニ監督は最終予選までの間に、もう一度チームを基本に立ち返らせ、カウンター対策を完璧に修復してみせた。

 それはまさしくヨーロッパの最前線を経験した指揮官の面目躍如と言えるような指導力だった。イタリア人指揮官らしい、勝負に対するこだわり、戦術の徹底ぶりだった。

 ところが最近のザッケローニ監督は、カウンター対策のみならず、ピッチ上で起こっている問題に対して目をそらすようになっている。少なくともコンフェデレーションズ杯以降、いや、今年に入ってからと言ってもいいが、攻守両面における問題点はいまだに放置され続けている。

 確かに、選手の駒不足など指揮官の力だけではどうしようもない部分はあるかもしれない。だが、就任してから最初の2年間でできていたことが、今できなくなっているというのは大きな問題だ。選手個々の力が2年前より下がっていることは物理的にもあり得ないし、むしろ選手はこの2年間で多くの経験を積んでいるのだから、そこは指揮官の指導力の問題だと言っていいだろう。

 オーストラリア代表は、このタイミングで希望の見えないオジェック監督に見切りをつけた。韓国も予選通過後に指揮官を代えた。明るい兆しどころか、悪化の一途を辿っている日本が、このまま指をくわえて本番に臨んでいいわけがない。

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