問題放置のザッケローニ監督。11月欧州遠征で交代の決断を

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

 日本がボールキープできていたのは、ほとんどが日本の最終ラインと中盤が横パスをつないでいるときだけ。全体が連動してしっかりと網を張る相手の中盤の前でパス交換を繰り返すのが精いっぱいという展開は、4日前のセルビア戦と同じだ。さらに言えば、相手のプレッシングから、最終的に相手のFWと中盤に囲まれてボールを失ってしまうシーンも、セルビア戦同様だ。最も危険なボールの失い方である。

 失点シーンはまさにその象徴だった。ボランチの長谷部誠が中盤で相手のプレッシングに遭い、ボールを奪われたところから始まったベラルーシの連続攻撃が、結局はこの試合の決勝ゴールにつながってしまった。もちろん、たまたまボールを失ったのが長谷部なのであって、あの場面でボールを持っていたのが遠藤保仁でも、あるいは下がってボールを受けた香川真司でも、おそらく結果は同じだったと思われる。
 
 そもそも、相手はヨーロッパ地区のワールドカップ予選でグループ最下位に沈むチームであり、しかも4日前のスペイン戦とはGKを含めて7人ものメンバーを入れ替えてきたのである。
 
 そのベラルーシに対して日本は、終始、思惑通りに試合を運ばれてしまった。試合終盤には、あわやセルビア戦の再現とも言えるようなカウンターも受けていた。本田圭佑の必死の戻りと相手の稚拙なプレイによって失点こそ免れたが、この試合が4日前と同じスコアで終わっていても、まったく不思議ではなかったというのが実際のところだった。

 わずか4日前に起こった問題に対する修正の跡はまったく見られず、同じ過ちを繰り返す。もっとも、セルビア戦後に「2失点目は引いて守っていても仕方なかったから。個人的には今日は0-1のスコアだと思っている」と指揮官がコメントしているのだから、修正を望むことはしょせん無理な話なのかもしれない。

 今、懐かしく思い出されるのは、去年6月に行なわれたW杯アジア最終予選の最初の3連戦。とりわけ初戦のオマーン戦(3-0で勝利)で見せたザッケローニ監督の指導力である。

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