ザックの指揮能力の限界?日本代表は「重症」である (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by AFLO

 だが、時間の経過とともにベラルーシのプレスが勢いを得ると、日本は後方でのパスばかりが増え、もたつきが目立つようになった。前半なかば以降は、後半にFKから岡崎が惜しいシュートを放っただけで、流れのなかからはほぼノーチャンスである。

「高い位置でボールを奪えればチャンスにもなる。2試合で1点も取れなかったのは、いい守備ができなかったということでもある」

 DF今野泰幸がそう語るように、負の連鎖は守備から攻撃へとつながり始めた。

 ザッケローニ監督にしても、試合途中で4-2-3-1から3-4-3に布陣変更した理由について、「ボールの奪いどころが低いところになっていたので、もう少し高くしたかった」と明かしている。

 サッカーにおいて守備と攻撃は表裏一体。いい守備ができなければいい攻撃ができないのも当然と言えば当然だが、今の日本代表は攻守両面で自分たちの姿を見失ってしまった。

 ザッケローニ監督は「ホームとアウェーでの試合内容に差がある」と指摘し、「この課題を解消するために、まずはその原因を見つけなければいけない」と語る。

 だが、結果は別にして試合内容を見れば、先月のグアテマラ戦、ガーナ戦も含めて、ホームかアウェーかに関係なく下降傾向にある。アウェーで戦ったこの2試合だけ、急に悪くなったわけではない。

 それは、チームが一度完成形を迎えて強くなり、さらに上を目指したからこその苦しみでもある。本田圭佑は言う。

「今までやってきたことが出せていない。ワールドカップに向けて新たなトライをすることでうまくいかなくなっている。そのへんのチクハグさは若干ある」

 古今東西どんなに強いチームであっても、いずれは変革を求められる。一度完成形を迎えようとも、それを維持するのは不可能だと言っていい。現状に満足した結果、待っているのは失速であり、低迷だ。

 その意味では、本田が「ワールドカップでアジアカップと同じサッカーをするつもりはない。いろんなシミュレーションをしている」と話すように、一時的な停滞は覚悟のうえで何かを変えようとすることは悪いことではない。

 しかし、今の日本代表を見ていると、「チグハグさ」のほうがあまりに目立つ。言い換えれば、選手ごとに考える「新たなトライ」には違いがあり、チームをさらに強くしようという気持ちは同じでも、進んでいる方向がバラバラになっているように見えるのだ。

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