北澤豪が初告白「20年前のドーハで
受け取った御守りの行方」

  • 渡辺達也●文 text&photo by Watanabe Tatsuya

「よくよく見ると、3つ目の御守りが張り付いていたんです。それで、ふたつの御守りは、言われたとおりに両方のゴールの中に埋めました。でも、3つ目の御守りをどうしたらいいのか悩んで、そうこうしているうちに選手たちがピッチに出てきた。それで、オレ、キーちゃんに残りのひとつを渡したんですよ」

 結果、日本は両方のゴールに得点を決めたが、試合は2-2の引き分けに終わった。もし北澤が試合に出場していれば、何かしら状況が変わっていたかもしれない......。そう思ってしまうのは、私だけではないだろう。

 ともあれ、20年前に渡された御守りのことを、はたして北澤は覚えているのだろうか。

「覚えていますよ。試合前にカメラマンの方と話をしていて、確かに(御守りを)受け取りました。当時は、サポーターとか、メディアとか関係なく、みんなで一緒に戦っている思いがあった。だから自然に、特別な重圧を感じることもなく(御守りを)受け取ってストッキングの中に入れていました。それで、サポーターのそうした行動も聞いていたので、『オレが出ていれば......』という感情はありましたよ。まあでも、その(御守りの)願いが叶わなかったということは、『日本がW杯に出場するのはまだ早い』と判断した、より力を持った神様がいたってことじゃないのかな。そうでなきゃ、(イラクの)あんな奇跡的なゴールは生まれないよ。

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