2013.10.16

北澤豪が初告白「20年前のドーハで
受け取った御守りの行方」

  • 渡辺達也●文 text&photo by Watanabe Tatsuya

 試合後、北澤は宿舎であるホテルのベランダにいた。イラク戦のこと、今後のこと、いろいろなことを考えていた。そこへ、森保一(サンフレッチェ広島/現サンフレッチェ監督)がやってきた。彼は涙を浮かべながら、こう言った。

「こめんね......。やっぱり、キーちゃんが試合に出ていたほうが良かったよね」

 それに対して、北澤は「今さら言うなよ」とすかさず返したが、そのあとに続く言葉は出てこなかった。

「別に、森保を責める気持ちなんて、まったくなかったんですよ。オレが出ていたからって、状況が変わっていたかどうかわからないわけだし。ただ、そんなふうに言われたら、そう言うしかないじゃないですか」

 北澤には、誰かのせいにする気持ちは微塵もなかった。むしろ、自らが置かれた状況を悔いていた。

「最終的に自分で結論づけたことは、オレは『(最終予選には)間に合わなかった』ということ。要するに、ケガをしたあと、自分はまだベストな状態ではなかった。万全だったら、オフトはオレを使っていたと思う。レギュラーじゃなくても、イラク戦における選手交代のファーストチョイスは間違いなくオレだったはず。結局、オフトの信頼を得るだけの状態に、オレが戻っていなかったということなんだよ。ギリギリ最終予選メンバーには残ったけれども、それでは『間に合った』とは言えない。監督の頭の中に、自分の名前が常にあったわけじゃないんだからね。そういう意味では、ケガに対しての悔いが改めて募りましたよ」