ザックJ不動のDF今野泰幸「代表が楽しくなくなった」

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

 そういう意味では、今回の欧州遠征で対戦するセルビア(現地10月11日)とベラルーシ(現地10月15日)は、世界的な強豪とは言えないまでも、力試しには絶好の相手である。アウェーという舞台設定も悪くない。今野は、この2試合をどう位置づけているのだろうか。

「めちゃくちゃ大事な試合です。それぞれ力のあるチームだし、アウェー戦ですから。そういう試合を(失点)ゼロに抑えて、なおかつ内容のともなったいい守備ができれば、自信を回復できると思う。そして、次の(欧州遠征の)オランダ戦(現地11月16日)につなげていきたい。

 あと、やっぱりただ試合をこなすのではなく、自分たちのサッカーというか、前から仕掛けて、ラインをコンパクトにして、中盤で(敵の)ボールを奪い切るとか、そういう狙いのあるサッカーにチャレンジしたい。そこで、何が良くて、何がダメだったのか。それをしっかり見極めて、課題を持ち帰りたいと思っています。自分たちのサッカーをせずに負けてしまうということだけは、絶対にしたくないですね」

 課題を見つけ、修正する。それは、チ-ム強化のために欠かせない作業だ。だが、ブラジルW杯の開幕(2014年6月12日)は刻々と近づいている。チ-ムの完成度を高めるための時間は決して多くないが、現時点で日本代表はどれほど仕上がっているのだろうか。

「う~ん、自分の感覚では、W杯最終予選3試合をこなした昨年6月の頃と(チームの完成度は)変わっていない。あの時点で、70、80%くらいだったかな……。でも、これからだと思うんです。

(2011年の)アジアカップで優勝したときは、初戦のヨルダン戦に引き分けて(ザッケローニ)監督にすごく怒鳴られた。そこで、ミーティングを開いて、『(選手たちは)やるしかない』って感じになって、チームがひとつになった。で、勝ち続けることで、(チームは)成長していった。最終予選に臨むときも、その前の3次予選で北朝鮮やウズベキスタンに敗れて、みんなが『オレらはまだまだ』と思い知らされた。危機感を持てたことでいい準備ができたし、いいスタートが切れて、グッとチーム力が上がった。

 現状は、コンフェデやウルグアイ戦で負けて(チームの)調子は落ち気味だけど、それを乗り越えられるかどうかが、今の代表に問われていることだと思うんです。アジアカップや最終予選のときのような自信を取り戻せるのか、チャレンジしていきたいと思います」

 力強く、今野はそう言った。

 危機を乗り越えて、自信につながる手応えをつかみたい――。今野の言葉からは、その強烈な思いが伝わってくる。セルビア戦からはじまる、10月、11月の欧州遠征4試合。はたして今野は、強いメンタルで立ち向かっていた頃の自分を取り戻すことができるだろうか。

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