【U-16】若きなでしこが成長中。新チームで掴んだアジアチャンピオン (3ページ目)

  • 早草紀子●文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 杉田が自由にプレイできている時間帯は、日本に流れがきている時。しかし、杉田のプレイが際立てばそれだけマークも厳しくなる。北朝鮮戦では、これまでのように自由自在にはプレイさせてもらえなかった。本人も痛感しているところだ。「攻撃に厚みを持たせることができなかった。メンタルの部分もそうですが、体力面でも上げていかないといけない」(杉田)。決勝の90分間を戦い終えた後は、決めきれなかったことを悔やむ気持ちが湧き上がった。それでもキャプテンとしてチームメイトに声をかけた。「ここで負ける訳にはいかない。みんなで勝って帰ろう!」。PK戦一番目のキッカーは杉田が担った。「緊張しました(苦笑)。決められてよかった」

 初めてのことだらけの末に掴んだアジアチャンピオンに喜びもひとしお。表彰台の上で、キャプテンとして重大な任務――優勝カップを受け取った杉田は満面の笑みで高々とそのカップを突き上げた。杉田には世界大会に置いてきたものがある。ベスト8というポジションは納得のいくものではなかった。敗戦の形も、自分のプレイもすべてに悔しさが募る。今度は自分たちが一から積み上げて再挑戦できるのだ。

 だが、彼女たちにはさらなる試練が待っている。本来であれば来年の秋に開催されるワールドカップが、今回は3月開催と、半年以上早まっているのだ。それだけ強化する期間が短くなる。「だからしっかり集中すること。もっと上のプレイを目指したい」(杉田)。すでに逆算してイメージはできている。

 “チャンピオン”。この響きに憧れを抱かないものはいない。実際にアジアの頂点に立ってみて新たに思うこと。――次は世界で。若いなでしこたちの次なる戦いはすでに始まっている。

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