ナイジェリア戦。初のボランチコンビで澤も宮間もなでしこも復活 (3ページ目)

  • 早草紀子●文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 その三宅をすぐ隣でケアしていたのがもう一人の復帰組、近賀ゆかりだった。昨年の皇后杯で右膝前十字靭帯断裂と半月板損傷を負い、下された診断は全治6カ月。厳しいリハビリの末に、ようやくなでしこのピッチに戻ってきた。立ち上がり8分、近賀はいきなりオーバーラップで見せ場を作ると、その2分後にも再び右サイドを切り裂いた。大ケガを感じさせない強気な姿は、絶大な信頼を勝ち取るに十分。試合終了後には宮間、川澄らから「おかえりー!!」と給水用ドリンクで熱い歓迎を受けていた。

 復帰やデビュー、チーム再構築に、戦力の融合......あらゆる要素が見て取れた第1戦。快勝には違いないが、選手層が厚くなったと喜ぶのは時期尚早だ。ナイジェリアのオコン・エデム監督は自チームのコンディションに問題はないとしたが、試合の前々日に来日した選手たちの調整不足は明らか。マンツーマンで対抗してきたナイジェリアのプレスをかいくぐるのは難しくなかった。となれば、2-0という結果は決して満足できるものではない。それでも東アジアカップで、方向性と自信を失いかけていたなでしこジャパンにとって、無失点での勝利は必要なものだった。

 ナイジェリアとの2連戦(第2戦は9月26日/千葉フクダ電子アリーナ)で佐々木則夫監督は、キャプテンの宮間、エースの大儀見、左右サイドをこなす川澄の3人以外は、選手を入れ替え、あえて"長崎組"と"千葉組"の競争意識を煽っている。しかし、確実にコンディションが上がってくるナイジェリアに対し、"千葉組"は宮間らの移動を待って、わずか三日間でチームを構築しなければならない。限られた時間で、新しい戦力をどう積み上げていくのか。第2戦での新発見を期待したい。

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