吉田麻也「自分も、チームも、やっと一歩前に踏み出せた」

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

ブラジルW杯まで268日
『ザックジャパンの完成度』
連載◆第22回:吉田麻也

 グアテマラ戦とガーナ戦を前にして、日本代表のチーム内はややナーバスな雰囲気になっていた。6月のコンフェデレーションズカップ(以下、コンフェデ)が3連敗の9失点。再スタートとして臨んだ8月のウルグアイ戦でも、大量4失点を喫して完敗した。

「守備崩壊」――。各メディアでそう騒がれて、とりわけ守備陣には大きなプレッシャーがかかっていたのだ。

グアテマラ戦とガーナ戦では、安定した守備を見せた吉田麻也。グアテマラ戦とガーナ戦では、安定した守備を見せた吉田麻也。
 コンフェデで露呈した課題のひとつは、ラインコントロールだった。最終ラインが乱れて、そのギャップを相手に突かれて失点することが多かった。ウルグアイ戦では、それが少しは修正されているかと思ったが、改善の糸口さえ見えず、コンフェデのときと同じようなやられ方で失点を重ねた。かつての代表指揮官(1998年~2002年)、フィリップ・トルシエがチームを率いていたならば、ラインの上下動の練習をしつこく行なっていたことだろう。

 はたして今回の2試合では、守備の根幹とも言うべきラインコントールをどう修正し、守備をどれだけ建て直していくかが注目された。これまでの対戦相手に比べてレベルは落ちるものの、ここで改善の兆しが見えなければ、ワールドカップに向けて不安は膨らむばかりで、チームの完成度などとても語れない。

 カギを握る存在は、ディフェンスの中心選手のひとりである吉田麻也。1戦目のグアテマラ戦の前、改善されない最終ラインの課題について、彼に質問をぶつけてみた。

「ラインコントロールの練習ですか? やっています。特に今回は。これまで3年間、同じ形でやってきましたが、最近はちょっと、曖昧になっていた部分があるんです。やはり、ずっと同じメンバーでやってきたので、(何もしなくても)やれて当たり前という感覚になっていて、何か問題があったときに、イチから確認するということができていなかった。だから今回、その曖昧な部分というか、膿(うみ)を全部出し切って、イチから再稼動していければいいかな、と思っています」

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