柿谷にも大迫にも、合格点はあげられない (2ページ目)

  • 山添敏央、佐野美樹●撮影 photo by Yamazoe Toshio,Sano Miki

 欲を言えば、ベストメンバーのアタッカー陣をそろえたガーナ相手に、どれだけできるか見たかった、というのはある。ただ、この日のガーナのメンバーは決してレベルは低くなかった。ロングボールを蹴って身体能力にモノを言わせて攻めようといった大味なプレイに走ることなく、丁寧にボールをつなぎながら、組織的な攻めを見せていた。アフリカの中では、組織力も技術もズバ抜けているチームだけに、その攻撃を抑えられたのは価値がある。

 特に、ガーナの選手がボールを持っている際に、日本はその選手の視界に入っていない、ブラインドサイドのケアもしっかりできていた。つまり、対峙する選手だけでなく、その周りにいる選手もいい立ち位置をとっていた。ゆえに、本来ガーナが得意とする、ワンツーなどのコンビネーションによる突破が、この試合では影を潜めていた。

 一方、攻撃も悪くなかった。いい形を作って、3点取ったのは良かった。とはいえ、ザッケローニ監督が5、6点取れたと言っていたように、前半、決めるべきところを決められなかったし、FWの柿谷曜一朗はシュートを打てていないし、香川真司はミスが目立っていたし、攻撃面においては、まだまだ高めていかなければいけないことがたくさんある。

 攻撃の組み立てにおいても、後方から中盤や前線、中盤から前線へのボールの出し入れの際には、そのテンポをより速くする必要がある。ガーナ戦の前半はまずまずだったけれども、少しでも遅くなると、世界の強豪国相手には通用しない。ドイツやオランダ、スペインやフランスなど、ハイプレッシャーをかけてくるチームは、いいところをどんどん消してくる。そうすると、ボールを下げざるを得なくなってロングボールを蹴ったり、横パスを奪われてショートカウンターを食らったり、自滅的な形になりかねない。そのためにも、そういう強豪国を想定してプレイすることが、これからはより重要になってくると思う。

 グアテマラ戦に続いて、ガーナ戦でも、3バックを試したけれども、今後もオプションとして使っていくならば、3バックにおける攻撃についても、やらなければいけないことが多い。とりわけ、アウトサイドの長友佑都、酒井高徳の攻撃参加は皆無に等しかった。ビルドアップするときには、前線の3枚とポジションが重ねって、ボールを触ることさえままならなかった。今の状況ではあまりにも存在感がないので、彼らの生かし方をもっと考えなければいけない。そのためにも、彼らと前線の選手のポジション取りにどう変化をつけるかなど、チームとしてすり合わせをしていく必要があるだろう。

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